3.カルガリーまで
デルタ航空
成田から乗ったDL機。アメリカの飛行機はUAとNWに乗ったことがある。その2社よりズッと感じが良かった。

 9月2日(月)。15時25分発DL78便ロサンゼルス行はほぼ定刻に離陸。太平洋を横断するのはこれが初めて。スチュワーデスはみんな年輩。しかし我がサイドを担当のデスはキビキビしていて、いつも笑顔を絶やさず大変感じがよろしい。途中3時間くらい眠っただろうか。女房殿は食事のとき以外は殆ど眠っていた。

 朝食後機は次第に高度を下げ始め、やがて雲間に茶褐色の低い山の波。初めて見るアメリカ大陸の印象はあまり美しくない。ほぼ定刻(9時20分)ロサンゼルス空港に着陸。飛行時間およそ9時間30分。日本は今、深夜の2時くらいか。ここで、DLI154便11時5分発ソルトレーク行に乗換えなければならない。日付変更線を越えたので時計を調整。9月2日をもう1回過ごすことになる。

 荷物引き取り所で荷物を待つ間、ボンヤリ外を見ていた。ドアがあって、その外にスポーツカーが止まった。赤のオープンカー。運転席に白人の若い女。助手席に黒人の男。抱き合ってキス。そして男はアタッシュケースを持って車を降り、ちょっと手を振ってこちらに入って来る。女は車を走らせて去る。仕事に出る男を送って来たのかな。「ああ、ここはアメリカなんだ」と実感する。

 出て来た我がスーツケースをピックアップし税関へ。申告書に「TRANSIT」と書いたにもかかわらず、「どういうルートでどこへ行くのか」と二人連れの係官が聞いてくる。一人は東洋系。それに答えると、今度は「Japanese?」と聞く。それも書いてあるのに・・。「Yes」でやっとOK。税関を通過して再びスーツケースを預け、待合いロビーで時間を潰す。出発前に情報誌で「アメリカ経由の場合、荷物は乗換の都度必ずピックアップしなければならない」と書いてあるのを読んでいたので、そのとおり行動した。チケットを買ったとき、WASは何も言わなかった。成田のカウンターでも何も言われなかった。スーツケースにはカルガリー行のタグが付けられている。しかし、もしその情報誌を読んでいなくて自分で荷物をピックアップしなかったら、我がスーツケースは一体どういうことになったのだろうか。

ロス空港待合室
 ロビーで待つ間、若い男が一人、ガムを1パックずつ客に配って歩いている。私にもよこした。何かの宣伝なんだろうかと戸惑っているうちに、一巡して戻って来る。見ていると大方の客が返している。1ドル渡している客もいる。ハハァ、売っているんだ。 そういうはしこい奴もいるが、ロビーの雰囲気は日本に比べるとどことなくゆったりしている。椅子の置き方にも余裕があるし、人の歩き方もゆっくり。

 やがてオンタイムで搭乗開始。すぐ離陸。このテンポの良さ。私はせっかち人間。この国とは相性がよさそう。座席はほぼ満席。通路を隔てた向かいに、アメリカ原住民系とはっきり分かる男。そのまわりにその男の娘らしいのが二人。中学生に高校生くらいか。娘達は父親に似ておらず、白人で通る顔かたちをしている。養子かな? ロスとソルトレークとの時差が気になったので、その男に聞いてみる。意外にもその男知らないらしく、娘に聞いて「1時間」と言う。事のついでに、ソルトレークとカルガリーの時差も聞いてみる。また娘に聞く。娘が直接答えてくれた。「経度が同じくらいだから、たぷん時差はないだろう」とのこと。モンタナの住民で、ロスに遊びに行った帰りとのことだった。

 13時50分ソルトレーク着。飛行時間約1時間30分。時計を調整。まめにこれをしないと、飛行機に乗り遅れたりするおそれがある。着陸直前から窓外の景色を観察していたが、ここの地形は盆地らしい。町のまわりに樹木のない山が屏風のように連なっている。見える建物は新興住宅地みたいな小規模低層のものばかり。ソルトレークというからには、どこかに塩湖らしきものがある筈と目をこらしたが、遂に見えなかった。いずれにせよ、いかにも田舎という印象。確かここはテレビによく出るケント・デリカットの故郷の筈。昔 「ユタ州って田舎だよね」と誰かに言われて、「田舎だけどいい所だよ」と口を尖らせていたのを想い出した。

 着陸して周囲を見ると、ローカル空港にしては駐機数が多い。しかも殆どDL機。ここはDLの拠点なのだろうか。ここでまた、DL1772便14時50分発カルガリー行に乗り換える。「乗換の都度必要」ということだから、スーツケースをピックアップすべくターンテープルの前で待つが、一向に出てこない。遂に回転が止まってしまう。すぐ傍のオフィスに駆け込み、クレームをつける。係の男は落ち着き払って当方の差し出すチケットを点検。「お客様のお荷物はカルガリー行きの機に積み換えておりますからご心配なく」と言う。ロスではピックアップしたのに。一体これはどういうことだ?

  相手は委細構わず端末を叩いて、「お客様の搭乗ゲートは52番です」。 「(荷物の扱いは)どういう仕組になっているの?」と聞きたかったが、いかんせん当方英語に白信がないから、「有り難う」と引き下がる。しかし、DLの客に対する態度は極めて丁寧。好感がもてる。これは、後でも再三感じたこと。

(注)これを書いている今になって気が付いた。ピックアップが必要なのは、税関を通過しなければならない空港に違いない。ロスはアメリカへの入国ゲート。アメリカ側とすればたとえTRANSITでも入国者としてチェックする必要があるのだろう。しかし同じTRNSITでも、台北ではノーチェックだ。国によって扱いが違うんですね。

 待ち時間僅かで搭乗開始。日本人の団体がいる。中年を過ぎたおばさんばかり。会話に「へばへば」などと入るから、「これは青森だ」と睨む。自分の席に着いたら、後ろの席のちょっと派手目のおばさんが「ンまぁ、スんばらくでねエの。相変わらずいい男前でエ」ときた。とっさに調子を合わせて、 「ンまぁ、青森のむかスの恋入でネェか。いやいや、相変わらず若いでねエの」。「やっぱ、青森とわかんだ」。「へばへばでわかったよ」。津軽は弘前から来たという和服商のお得意様招待旅行の団体の由。それで女性ばかりなんだ。声をかけてきた女性はひときわ調子がいい。弘前の桜の話になって、「是非いらっしゃい」と言うから 「その頃は宿が取れないそうじゃないの」と言うと、「わだすに言ってくれればすぐ取って上げるよ」。いったい何者だろうか。話しているうちに料理屋のお内儀と知れる。道理で・・。別れるとき、店の名前入りのテレカを呉れた。

 そんなことで気が紛れ、あっけなくカルガリー着。着陸直前の窓から見た印象では、ここは広い平原。飛行機は北に向かって着陸。右、つまり東の方に低い山がちょっとある。イミグレーションで大層時間がかかった。列が三つ。真ん中の列に付いたら、これが仲々進まない。右が一番早い。後ろの方にいるときは様子が分からなかったが、進むにつれて係官の仕事ぶりが見える。右の係官は東洋系の若い男。何も質問せず、機械的にスタンプを押す。だからドンドン進む。左の列の係官はたまに質問している程度。ところがこちらの係官は中年の友性で、一人一人にマメに質問している。これでは遅くなる。列を変えようかと思ったが、そうするとまた最後尾につかなくてはならない。諦めてそのまま進む。

 やっと当方の番になった。 「カナダは初めてか?」に始まり、 「どこへ行くか?」。「知り合いはいるか?」。「いる」と答えたら「働くのか?」。「いや観光だけです」。 「OK。カナダをenjoyして。あんたは英語が上手だ」とお世辞を言ってくれてパス。一々質問するのは不法就労目当ての入国に神経を使っているからではないか? しかし褒めてくれたから言う訳ではないが、とても感じのいい人だった。それにしても隣のカウンターと仕事振りが違い過ぎる。内部で問題にならないのだろうか。

 次の税関はフリーパス。出た所にトーマスクックの両替屋。1カナダドルが83円38銭。思ったより円安だが仕方がない。取りあえず5万円両替する。次はレンタカー。日本で予約しておいた「AVIS」のカウンターへ。白人と黒人の若い女性の係が一人ずついる。どちらも先客あり。黒人の方が空いたので進む。こちらが予約番号を言うのに構わず名前を聞かれ、車種と借りる日数の確認後、何やら質問されるが早過ぎてサッパリ分からない。 「ゆっくり話してくれ」と頼むと幾らかはスローになったが、それでも理解できず。困っていると「どこの国?」と聞く。 「JAPAN」。するとやおらセロケースのルーズリーフを取り出し、見ろと示す。スペイン語、フランス語、中国語、日本語等々各国語の説明書の綴り。そんな物があるなら最初から出せばいいのに。

 要するに「保険がいろいろあるが、どうしますか?」と聞いているんだ。車体保険だけにする。傷害はクレジットカードの保険で間に合う。ピーッと端末から出てきた紙をピッと切り取り、こことここにサインしろと示す。全部で4カ所。文字は虫眼鏡でなければ読めないような字で、一体なんの為のサインか分からん。拒否したかったけれど、トータルが24.65とあるからどう転んでも大したことはあるまいとサインする。やれやれ、自由旅行はしんどい。

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