29. 軍事訓練
 Main St in campus
正門から約200米続くメインストリート。ここに各学院の受付が出て、新入生の入寮手続きが行われる。
 7月初めに夏休みで帰国。帰国までに不及格にした学生の家族が抗議に来るかな・・・と覚悟していましたが、誰一人来なかった。L先生は大袈裟に言っていたけれど、何も起らない。騒ぎになることを恐れず、「ちゃんと勉強しないと卒業できない」というごく当たり前のけじめをキチンとつける。それこそが教育の基本と私は考えるけれど、それはしがらみの無い外国人だから言えることで、ずっとここに残る(或いは残りたい)同国人教師の場合は、そうもいかないのかも知れませんね。落とした学生の親が有力者ということもあり得ますから。

 さて、9月から新学期。少し早めに上海へ戻りました。9月でも上海はまだ暑いです。戻って最初にビックリしたこと。或る朝、例によって外へ朝食を取りに出た。そうしたら、学内のメインストリートに人と車がビッチリ。正門から外へ出たら、桂林路もビッチリ。向こうの交差点には交通整理の警官が立ち、一般車を迂回させている。何かと思ったら入寮の手続日らしい。本人に家族が付き添い、車に布団やら何やら身の回り品を積んで来ているわけです。殆どの新入生が寮に入りますから、ちょっとやそっとの人数じゃない。その日一日桂林路は交通渋滞していました。

 授業が始まってからクラスでこのことを話題にした。日本ではこういう現象は起きない。そもそも入寮に親が付いて来るなんてことはない(これは私らの時代の話で、今はそうではないかも知れませんが)。荷物は宅配便というものがあって、それに委託すれば確実に届く。本人一人が手ぶらで寮に来れば済むことだ・・・と。

 それに対する学生の反応。中国では大学に入るのは大変なこと。親にしてみればこの上もない名誉。だから、子供が入った大学を一目見たくて付いて来る。それと、手続き中に荷物が盗まれる懼れがある。その見張りも兼ねているのだ。そういう説明でした。そう言われて、入寮日が親にとって「ハレ」の日なんだというのは分った。けれども運送屋を頼まないことの説明はなかった。

 説明がないのは、中国では軽運送業が未発達。頼もうにもそれが無いからなんですね。何故無いか。一つは、まだ自動車が少ない。もう一つは、委託すると荷物が途中で無くなる(懼れがある)。だからみんな、自家用車か知人の車を頼んで荷物を運ぶんです。手に持てる量ならバスに持ち込んで運ぶ。ただ当時、既に大衆という上海最大手タクシー会社が軽トラックで宅配便を始めていました。おそらく中国では嚆矢でしょう。上海人は新しいもの好き。これからは次第にこういうものが普及するのではないか。しかし、そうは言っても、当面は上海に限られるでしょうが。
軍事訓練-1
 ちょっと脱線しましたね。左の写真は戦闘服を着た新入生です。1年間は本来の授業が削られ、軍事訓練が施される。中国全大学一律です。ただし、本科生に限る。これは江沢民主席の指示で決まったことらしい。天安門事件が起ったのは学生の思想が軟弱だからだ。国防意識と愛国心を涵養せよ・・・という趣旨のようです。人民解放軍の兵士が指導に来ていました。
 さて、私の仕事の話に戻ります。担当する学年は新本科3年生と、専科3年生の2学年。専科3年生は2年生がそのまま進級した連中。本科3年生は専科から試験をパスして移った連中です。他の大学専科や旅遊学院などという専門学校から入って来た者も数名いて、合計で35名の一班。二班が一班に減ったわけです。

 減った人数はほぼ、専科卒で就職した者と海外留学者の合計。専科の学費は年間3,200元。他に寮費460元。それが本科になったら学費が5,000元だそう。専科を3年やって来た上になお本科2年間。それも年5,000元も納めて・・・というのはきつい。ほぼ半分が「もういいや」と、本科に進まなかった。就職すれば専科卒でも月給2,000元位にはなる。2年後に本科卒業で初任給が幾らか。たぶん専科卒より300元から精々500元多い程度。ならば当面、就職して2,000元貰う方がいい。そういう計算。至極尤もな話です。

 学費の話のついでに私の報酬のこと。大学から出る基本給が上がった。また要求したのに契約書を作って呉れなかったので記録が無い。記憶では確か、アップは600元くらいだった。昇給の理由は「専家」になったから。M先生は外賓楼に入ることを条件に「専家になりませんか」と誘われたそう。私は専家証を貰って赴任し最初から外賓楼に入っている。大学は私の宿舎費として6,000元払っているという。すると私は専家のはず。しかし、学院長と面談したとき、「貴方は専家ではない。来期は専家にします」と言われた。だから今度こそは確かに専家なんだろう。すると最初に貰った専家証は一体何なんだ。全くもう何が何だかヨクワカラン。
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