30. 天井が落ちた
教室2
南大楼教室。定員が少なかった昔の規格なのでしょう。ちょっと窮屈でした。
 新しく担当することになった専科3年生のクラス。班数はやはり二ケ班でしたが、一ケ班の人数が前年のクラス30名より多い。定員を増やして入学時は35名編成だったそう。それが2年間に少し減って、一班が33から34名くらいになっている。全員出席すると席が満杯になる。息苦しいようでした。

 前年度の学生との違い。1班と2班の雰囲気に大きな差がない。これはできる子がどちらのクラスにも同じ程度いるからではないか。学力がほぼ均等なのです。ただ、片方の班に一人ひどくできない男子がいた。既に少し頭が薄くてオジンの風貌でした。一度ドッペッたらしい。本来なら私が前年担当したクラスにいたはずの学生です。

 前年にもひどい学生がいましたが、一度も停滞せずに進級して来ていた。すると、今度のこの学生は相当ひどいに違いない。前年に担当したM先生に聞いてみましたら、やはりあまりにもできないので不及格にした由。それをまたU主任が作文書かせて進級させたのですね。するとその前の学年、つまり1年から2年になるときに落第したことになる。当時の主任はL先生。彼はU主任と違って筋を通したのだ。

 やはりできない学生というのは私語が多いです。この学生は授業が始まってものの5分もしないうちに隣の男子学生と喋り始める。ちょっと横道に逸れますが、M先生のご主人は中国駐在30年という猛烈商社マン。前に一度、上師大日本語科卒の男を雇ったことがある。これが箸にも棒にもかからないほど無能だったそう。どういうわけか、上師大日本語科にはできの良い男子が入らないらしい。

 ところが、もう一方のクラスには真面目で頑張りやの男子が3人いた。いつも最前列に座る。前に座るのは真面目な証拠です。このうちの一人はサッカー部のゴールキーパーで、翌年卒業と同時にユニクロに就職しました。ハキハキした子でした。教師をやって始めて、企業が体育会系の学生を好む理由が分りました。

 最初の授業のときには出席していたのにその後来なくなり、たまに大学近くの路上で見掛ける女子学生がいた。他の学生にどうしたのか聞いたところ、親が行方不明になり学資が届かないので授業に出なくなった。そして男朋友ができて(元々いたのかも)、その男とブラブラしている。学生生活指導室は一度事情を聞いただけで放任。本人は退学したつもりなのでしょうが、行くところが無いからと寮に居座っているのだそう。難解な話です。私その子を見掛けたとき「兎に角授業に来なさい」と言ったのですが、「この人何言ってるの?」というような顔をされた。その後どうなったかは知りません。
東部公園の池2
 この新3年生にも学力測定のテストをすることにしました。ところがその場所に困った。上の教室の写真を見ていただけばお分かりのように、狭くて隣との距離がない。横を向けば隣の答案が丸見えです。そこで、同じ東部の経営管理学院の大教室を借りることにした。そこは鉄筋の建物で左写真の池のすぐ右にあります。
 その教室は60人は入れそうな広い部屋。机一つに学生一人宛座らせて、試験の問題を配り始めたら、突然大音響と共に教壇真上の天井が落ちた。学生達が「キャーッ」と悲鳴を上げて総立ちになった。やっぱり女の子ですね。幸い学生達の上には落ちなかったので、そのまま試験に入りました。

 天井の骨組み構造が壊れたのではありません。夏休み中に壁や天井のモルタルを塗り直したのでしょう。そういう場合、本来なら古いモルタルを落として新たに塗り直すべき。それを怠って古いモルタルに上塗りした。だから重くなり過ぎて剥がれ落ちたのです。面積は畳3畳分くらい。厚さは2cmくらいありました。私が教壇に立っていたら、まぁ死ぬことはなかったでしょうが、脳震蕩くらいは起したでしょう。

 これぞ正しく中国・・・と感じました。まぁ兎に角、ここでは、日本ではちょっと考えられない事が起る。私、日本からTVを録画して持参。教材として使っていました。一度そのテープがカセットに引っ掛かった。視聴覚器具のメカニックを呼んだら、ちょっと見ただけで「これは外せない」と言って引きちぎった。ちぎれたテープをポイとこちらに渡し、サッサと帰って行った。それは確かに没弁法なのかも知れない。でもメカニックなんだから、引きちぎった後のテープを接合するくらいの技術は持っていてほしい。

 そのテープは授業にどうしても必要です。思い余って上海エクスプローラーというinternet サイトの「よろず相談」という掲示板に、「テープ補修できる人いませんか?」 と投稿した。すぐ反応がありました。バスに乗って訪ねて行きました。日本に10年いたという写真屋を営む中国人。日本語ペラペラ。セロテープで丁寧に接合してくれました。それもタダで。

 私、中国嫌いではない。大らかなところがいい。でも、長所は短所と表裏一体。中国の人はすることが雑です。大学って象牙の塔と言われるくらいですから、万事が上等でキチンとしているのだろうと普通は思いますよね。ところがドッコイ。大学の中も、外の世界と同じでした。
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