31. 新本科生
大観園
上海市郊外青浦にある大観園。紅楼夢の舞台を再現した景点。これは本編とは全く関係ありません。
 新本科生は一班35名であること、「28.軍事訓練」に書きました。専科で出来が良かった連中は殆ど入っている。ところが「24.カンニング-1」に書いたCも入っていた。他人の答案を丸写ししなければ卒業できないような学生がどうして編入試験にパスしたのか? これには驚いた。またU主任がいい加減な試験をやったに違いない。

 これも前に書きましたが、上師大から進級組の他に、華東師範大学からと上海旅遊学院から各1名、私立三達大学(専科)から2名の転入があった。華東師範というのは上師大より格上です。確かめてはないのですが、おそらく上師大は上海市の管轄。華東師範は教育部直轄ではないか。だから、学生も上師大より優秀なはず。ところがこの華東師範から来た男子学生は出来が悪い。読みも書きも、ということは発音も文法もひどく悪い。三達というのは北京外語大学かを定年退職した老教授が上海のどこかに設立した私立大学。むしろここから来た女子学生二人の方が、華東の男子より出来がよい。

 これだけの事実で全体を規定するのは危険ではありますけれど、どうも一般的に外国語学習には女性の方が向いているよう。また中国では、専科学生は本科学生に比しかなりレベルが下る。特に日本語科は歴史が浅いせいもあってか、入って来る学生もさることながら、教師の能力もまた甚だ心許ない。そう断定しても大きな間違いではないように思われます。

 旅遊学院から来た男子学生のことですが、これもひどかった。元々ガイドとかホテルマンなどの養成学校ですから、まぁお勉強はさほどではないだろう。その辺りには驚かないのだけれど、振る舞いが奇矯なのには驚いた。まず、今どき珍しい長髪。そして授業中は寝ている。カンニングのCと同じです。そのうちに帽子を被ってくるようになった。授業中にも被っている。「教室では帽子を脱ぎなさい」と命じても脱がない。「日本では許されないことだ」と言ったら、「ここは中国だ」とぬかした。教師に向かって何たる言い草。そういうのは絶対許せない。即刻教室から追い出しました。追い出しても次の授業にまた帽子被って来るんですから、結局は意味なかったんですが。後から聞いた話では、何かがあって誰かに丸坊主にされた。それが恥ずかしくて・・・ということだったらしい。どういう背景の子だったのか、まぁ兎に角変った学生でした。

 学院の窓口になる教師がU主任からZ前副院長に変った。英語の先生です。今年から上海外語大に通い、博士論文に専念するのだそう。中国の大学で教授になるのには、一定の論文数の他に辞書を作り、博士号を取らなければならないらしい。だから、教授って大学中でもそんなに大勢はいないらしい。現に外国語学院ではG院長一人しかいない。おそらくこのZ氏が次の院長候補なんでしょう。彼とはカンニングの一件のとき既に会っている。話が早い→なかなか切れるという印象だった。彼なら話がし易いと嬉しかった。

 ところが、このZ氏。学期初めの教師会議のとき、「今回外国人教師の担当になったが、学院の運営については絶対に外国人に口を挟ませない」と宣言したそう。文学博士のSo先生から「貴方何か言ったんですか?」と聞かれた。「いえ、全然」。実際、私としては何も言った憶えはない。ただ、何人かの教師に「何故ひどくできない学生をドンドン進級させるのか?」とは言った。ごく自然な疑問を口にしたまで。それが伝わったのだろうか。しかし、それくらいのことで「口を挟む」とするのは狭量に過ぎるのではないか。

 その後このZ氏とは何回か会食。様々な問題について意見を交換しました。非常に分り易い話をする。サッパリしている。上のようなことを言ったとはとても思えない。一般に、中国には外国に対する強い警戒心が存在する。猜疑心と言ってもよい。また、個別大学毎にモンロー主義があるのかも知れない。彼の発言はそういう底流に配慮したポーズだったのではないか。そんな気がします。いずれにせよ回路が変ったお陰で、学院幹部との意思の疎通は非常に楽になりました。

 私は日本の大学の事情は何も知りません。けれども博士号を取るために本来の仕事、つまり授業が2年間も免除されるということはあまりないのではないか。授業もしながら論文も書く。授業を減らして論文に集中したいならそれもいい。けれども収入は減る。そういうことではないのか。このZ氏が授業を免除されてその結果、収入が減るのか減らないのか。そこまでは分りませんでしたが、副院長をやったらその後は・・・とレールが敷かれている。これは論功行賞的なお手盛り制度かな?  そんな印象を受けました。 
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