4. 専科・教課・専家
東部側から正門を見る
正門側から東部を見る
 (写真左) 東部側から見た正門。 (写真右)正門側から見た東部。申しわけ程度の門があるのですが、バスに隠れて見えません。道の真ん中に立っているのは学生ですね。大学生といえども、みんなこのように信号を守りません。

 判じものみたいなタイトルですが、ま、ここでは日本語科課程の基礎的な事柄と私の処遇について、まとめてお話ししておこうということです。

 最初の授業のときに「抱負を語る」という宿題を与えました。作文です。次の授業のときに提出されたそれを見て驚いた。将来は日系企業に就職したいと希望する者が多い。まぁこれは予想どおり。ところがかなりの人数が「本科へ進みたい」と書いている。U主任に面接で会った時、「3年生は最上級生です」と聞いている。日本で大学と言えば4年制と決まっています。だから私が受け持った3年生は自動的に4年生になる。今4年生がいないのは、日本語科の歴史が新しいから・・・と理解していた。ところがそうじゃなかったのです。

 こちらでは大学に専科が併設されていて、引っくるめて大学と称している。同じ外国語学院でも英語科は4年制の本科なのだそう。日本語科は本科ではない。そして(これは後から知ったのですが)本来、専科は2年制なんだそうです。戦前の日本の私大がそうでした。専門部2年学部3年でした。それに似ている。すると、上師大は2年課程をなぜ3年と長くしているのか。これがどうもよく分らない。しかし、この話題は暫く棚上げしましょう。この時はまだ、「専科は本来2年」とは知らなかったのですから。

 で、専科を卒業して本科に進むとなると、上師大には本科がないのだから他大学の本科へ試験を受けて入らなければならないことになります。進学希望者にそうするつもりか?と聞きましたら、「いえ。もしかしたら来年我々の日本語科は本科に昇格するかもしれないそうです」と言う。へえー! そうなの。本来教師である私が知っていなければならないことを、学生に教えられる。そんバカなことが・・・あっていいのか。それがあったんですね。私は殆ど何も聞かされていないわけだ。

 教課の話です。未だ一人も紹介されていませんけれど、日本語科には勿論私の他に沢山教師がいる筈です。学生に聞くと、私以外の教師の授業は精読と翻訳だけ。あと、一部の学生が英語のクラスに行っていた。これは卒業に大学英語4級が必要なので、それを取るための補講。正課ではないようでした。精読というのは上海外国語大学が作ったテキストを使っていた。島崎藤村とか夏目漱石などの文章を読解する授業。翻訳クラスの内容はよく知りません。すると、私が3課目受け持っていますから、3年生の授業は週に5課目だけです。授業は午前中だけ。午後はありません。単純計算では毎日1課目ということになりますが、作文は週に2コマやりましたから、週5日の内1日だけ2コマの日があるということになる。あまりにも少ない。或いは他の教師の課目にも週2コマの授業があったかも知れない。しかし、それを足しても大した時間数ではない。下級生の時はどうだったかを聞いたら、やはり午前中だけだったと言う。どうもこれは不可解。

 いくら専科だと言ったって、いやしくも外国語専攻の課程です。少なくとも言語学概論、音声学、それから日本語科なら日本語史、(日本語)古典文法、日中文化交流史くらいは教えるべきではないか。時間ならふんだんにあるのだから。この問題は最後まで「なぜなのか」分りませんでした。当面の解答としては、今挙げた課目を教えられる教師はいない。だからできない。それは分る。でも、問題はそういう事ではない。日本で言うと文部省。中国では教育部。そこで大学各課程の取得すべき課目、単位を法定していないのか? と いう問題なのです。これは後にU主任に聞き、英語科の主任にも聞いてみましたが、ついに納得のいく説明は得られませんでした。U主任なんか、「各大学で自由なんだ」なんて言っていた。しかし、そんなの大学って言えないんじゃないか。そう考えるのが普通ですよね。

 専家の話になります。専家は専門家のことです。中国では外国から招く人をそう呼ぶようです。「赴任の経緯」に書きましたが私、専家証をもらっています。発行者は国家専家局になっている。しかし、私が外事処に要請されて写真を送ってから専家証が届くまで、確か10日かそこらしか掛かっていない。すると、名前は「国家・・・」となっているけれど、実際に発行するのは大学ではないかと思われます。それはそれでいいのですが、契約書がない。待遇条件はすべてU主任の口頭の説明だけでした。これは理解に苦しむことでしたね。私は前に書きましたように中途からの就任でしたから、任期は都合3学期でした。契約は学期毎に更改した。毎度要求して、最後の学期だけやっと契約書を交わすことができました。外事処がなぜ契約書を出し渋ったのか、今でもよく分りません。単に面倒だっただけかも知れない。

 それは兎も角として、U主任から聞いた待遇条件は次のとおりです。
1.基本給  週10時間  月額 1,600元 大学が支払う。
2.超過給  1時間50元           外国語学院が支払う。
3.宿  舎   免 費
4. 授業1コマは90分。私の受け持ちは週単位で、
  a.作文     2 コマ   3.0 時間   添削 2.0時間
  b.商務日語  1 コマ   1.5
  c.日本事情  1 コマ   1.5                 計   8.0時間 × 2クラス
                                   合計 16.0時間 
 上の基準から、報酬月額は 1,600 + (6×4週×50) = 2,800元 ということになります。
支給日は5日だったかなぁ?  もう憶えていません。
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