02.10.09  カーチェイス
円楼
 円楼。これは中くらい。一番大きいのは確か高頭地区の承啓楼。最盛期1千人住んでいたそうです。

 運転手と私に行き先を聞いたおっさんとのやり取りが終わり、車内が静かになりました。周囲は山。途切れ途切れに民家が並ぶ田舎道。道路は舗装されていますが、メンテナンスがよくない。かなり穴ぼこ、ひび割れがある。更には横の崖を切り崩して拡幅工事をしていたりでガタガタ揺れ、埃が立ち、当然乗り心地はよくない。おそらくこの道は、真っ直ぐ行くと永定を突き抜け、広東省に入る道だと思われます。この辺を鉄道が走っている筈。龍岩を出てからずっと注意していましたが、それらしい物は全く見えませんでした。

 運転手が突然、私にどこへ行くかと尋ねた客の方を振り返って、何か言いました。多分「来了来了!」と言ったんだと思います。そして窓から手を突き出して大きく振っている。何だろうと思う間もなく、同型のバスが猛スピードでこちらを追い抜いた。後ろの窓に「龍岩→湖坑」と書いてある。車が並んだ一瞬、運転手が何か大声で叫びましたが、向こうは聞こえなかったのでしょう。そのまま猛スピードで走っていく。そしたらこちらのバスがそれを追いかけ始めた。道路上には他の車も走っている。子供も遊んでいます。それを右に左に避けながら、まるで映画で見るカーチェイス。危ないったらない。

 初めは面白がってやっているのかと思いました。しかしこちらの運転手は追いながら、しきりにクラクション鳴らしている。横に並ぼうとしている。これはどうも私を移乗させようとしているらしいと気が付いた。そんなに無理しなくても・・と思いながらも有り難くもあり、何と言っていいかわからないままその追っかけっこ、30分くらい続いたでしょうか。結局二台が金魚の糞みたいにくっついたまま町に入り、前の車が止まった。そこで私は運転手の申し送り付きで引き渡されました。

 湖坑行きのバスはここ(注)で左折。一段と細い道を上ります。移ったバスで、また10元取られた。「エッ!」というこちらの表情を見て、女車掌が何か懸命に説明する。どうもこちらの方が距離が長いと言っているようでした。でも最初からこのバスに乗っていたら、24元までは掛からなかったと思います。
 (注)後で土楼で買った地図によると、Qiling、岐(山+令)という町らしい。

 上るうちに土楼がチラホラと。最初は方形でした。田には色づいた刈り取り前の稲。山にはこれも色づき始めた柿。しきりにバイクが行き交う。平和な風景です。湖坑に着き大部分の客が降りた。女車掌も降りた。私も腰を浮かしかけたら、運転手が座れと言う。また暫く走り、民俗文化村と大書した石門の前で降ろされました。整備された広場があり、周囲に幾つかの円楼があります。

 時計の電池が切れていて、正確な時刻は不明。私を乗せて来たバスが折り返して下って行きました。後でバス時刻表を見たら、龍岩行き最終が16:30とある。すると私の到着は16時過ぎ。龍岩から2時間。厦門からは6時間で着いたことになります。

 あのカーチェイスは私を最終バスに乗せる為でした。運転手に感謝です。同僚と雑談に夢中で仕事は二の次の切符売りもいれば、頼みもしないのに最終バスに間に合わせてくれる運転手もいる。苦あれば楽あり。これが旅の醍醐味ですね。  
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