25. 揚州-2 痩西湖 痩西湖絵葉書のような所です。

 次は痩西(そうせい)湖。大明寺の階段を下りた所に船着き場があります。屋形船に似た遊覧船に乗る。李鵬前首相の写真がありました。ここへ来たらしい。乗客は我々3人だけ。両岸に青々とした柳を見て狭い水路を進みます。この湖は公園の人造湖です。だから所々に橋や亭や花園。客の目を楽しませる工夫が施されています。家内は最近町の写真教室に入りました。いい題材とばかり撮りまくる。でも惜しいことに空がどんよりとしていて、素人目にも光線の具合が今一つ。いつそのこと雨の方が柳色映えてこの風情を伝えられるのでは・・。小さな湖だから、大した距離は乗せてもらえません。15分乗ったか乗らないかで遊覧船の終点に着いてしまった。もっと長く乗っていたかったですね。車が待っている公園出口まで木立の中を歩きます。途中動物園もあり、冬には落葉する柳が中心ながら今は緑が深い。中国らしくないスッキリした公園でした。

  再び車に乗り込み市内の揚州健康海に向かいます。健康海の説明は難しい。J市にもあります。だからR氏にここへ行きましょうと提案された時、J市の姉妹店かと思いました。つまりチェーン店の商号と思ったのです。ところが彼は違うと言う。とすると普通名詞だ。健康センターくらいの意味になるのでしょうか。中身はわかり易く言うと大衆浴場です。ただし、J市のは25メートルの堂々たる競泳用プールも備えています。揚州健康海にはプールはありません。あるのは浴場、サウナ、鍼灸、マッサージ、美顔美容、レストラン、個室。そして社長はR氏の義弟だそう。今回のプランを立てるに当たって、R氏は観光は午前中だけにして、午後はここでゆっくり休みませんか? と言いました。私は風呂が大好きですから一も二もなく賛成しました。

 店はビルの2階。開業後間もないらしくピカピカしています。浴場で生まれて初めて「垢すり」なるものを試みました。びっくりするくらい垢が出ました。後はサウナに鍼。鍼は目につく所に「当師は揚州医学院の鍼灸専門医で云々」と書いてあるから、それを信用してやってみたのです。ところが痛かった。後にJ市医学院で治療を受けるようになってから知ったのですが、痛いと感じるのはツボを外したときと、もう一つ、古い針を使った場合。針はある程度使うと切れなくなるから、捨てるのだそうです。私の場合そのどちらかわからないけれど、兎に角金を払って痛いんじゃ間尺に合わない。だから文句を言ってやりました。家内は久しぶりにのびのびと風呂に入れると喜びましたが、女性用の区画に入ったらサービス員はいないし客もいない。ウロウロした挙げ句、シャワーとサウナだけで出て来たと言う。どうして風呂に入らなかったの?と聞いたところ、「探してもなかったわヨ」という答。これも後に知ったことですが、中国のこの種の施設では女性用浴室に浴槽はないのだそうです。これは驚き。おそらく、衛生面の配慮によるのではないでしょうか。

 この揚州健康海では、我々が入った時間がまだ早かったこともあって湯はきれいでしたが、後々この種の浴場に夜行くと、だいたい浴槽には厚い垢の層が浮かんでいましたね。中国人は洗い桶を使わないんです。そもそもそういう物が無い。浴槽の縁に座ってタオルに石鹸をつけ体を洗う。当然、泡と垢の混合物が浴槽に流れ込む。その汚い浴槽に連中は平気でつかるんです。衛生観念がゼロに近いということでしょうか。O先生が私に与えた生活上の注意の中に、この事も入っていました。浴場では「大池」に入るな、と。浴槽は大池というようです。

 レストランで簡単な食事。あらかじめ言い付けておいたのにビールが冷えていないとR氏がぼやく。彼は「日本で冷えたビールのうまさを知ってからというもの、ぬるいビールはまずくて飲めません」としきりに言う。私も全く同感。そういう点では話が合います。話しているうちに、ここにはR氏が出資していると分かった。自分はJ市で忙しいから、義弟に経営を任せているんだと言う。日頃私は中国は嫌いだとか言っているけれど、実質自分の店へ連れていく辺りは、彼もしっかり中国人です。

 翌11日(日)は朝から雨。南京観光の予定でしたが、雨ではつまらない。それでSさん、案内予定のL氏に電話して中止にしてもらった。だから家内は南京を見ないで帰国しました。

<家内の感想 >
 家内も中国は初めてです。彼女の印象に残ったことを書いてみます。
1.デパート・スーパー
 食料品売り場に入るときは入口で袋、鞄類を預けさせられる。預かる係は引き替えに客に番号札を渡す。渡すといっても投げてよこす。売り場ではまず収銀台で代金を払い、その領収書を見せて品物を受け取るシステムになっている。まず、それが面倒。次に、お釣りも品物も投げてよこす。第三に、店員はお客そっちのけでいつも雑談に興じている。要するに、姿勢がお客本位になっていないということ。

   品質の問題もある。私のズボンを買いに行った。試着してこれがいいと決めた。片方のポケットに手を入れたら途中から入らない。袋の真ん中辺にミシンがかかっている。そんな欠陥品が堂々と合格証付きで売られている。日本ではとても考えられない。

2.市場
 新鮮な食材が豊富。勿論安い。活気がある。

3.料理
 必ず油を使っているが案外サッパリしている。油も調味料も種類が多いようだが、その都度、これは何を使っているとまでは分からなかったのが残念。やはり一番驚いたのがスッポンの甲羅。料理全体としては和食の方がレベルが上だと思った。

4.美容
 生徒のYに美顔に連れていかれた。手順は日本と同じだが技術は稚拙。化粧品の匂いがきつい。美容術、化粧品ともに日本とは比較の対象にならない。

5.ファンダメンタルズ
 マンションの階段に外灯がない。排水が悪く、3階でも階下から下水の逆流がある。
  (注)1階で下水がしばしば詰まるので逆流する。パイプが細いのと、やたらに物を
    流すのが原因だろうと推定。大家さんに言ってもダメだった。
  バスの中でも平然と子供におしっこさせる。街頭でウンチさせる。
  (注)子供服は最
初から尻の部分が割れている。バスの運転手も何も言わない。

6.手土産
 生徒の顧さんが訪ねて来たとき、手土産の梨について「これは新疆の物でとても高いものです」と言った。顧さんは歯医者で貧乏ではない。この辺の感覚は日本人と違う。

 7.市長と握手
 その顧さんに彼女の診療所へ招かれた。料亭で食事中に市長が現れ、日本人と知って向こうから挨拶された。偉い人なのに案外気さくだと思った。
  (注)市を挙げて外資を誘致しようとしている。その願望の現れでしょう。

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