4.  説明会-2  聴衆というべきか出席者というべきか。兎に角人が次第に増えて、席が6、7割埋まったところでR氏が開会を宣言。まずOK副主任の挨拶。L氏が通訳。「日本から先生が来てくれた。みんなしっかり勉強せい」と簡潔な話。
 
 続いてSさん。これは長い。「故T先生は素晴らしい先生だった」から始まって、「今度の先生もNHK出身で・・」とかまではL氏も通訳したが、そのうち通訳しなくなった。だから、何を話しているか私には分からない。

 「NHK出身で・・」というのもおかしい。
鎌倉で面接のとき私の履歴書を渡してあります。その履歴書にはNHK(養成講座)修了なんてどこにも書いてない。更に渡航前に、先方の要請で日本語教育能力検定試験合格証書のコピーも送ってある。言うなら「文部省検定合格」と言うべき。能力の評価は生徒がする。どう紹介されようと私は一向に構わないけれど、この人は役人なのに、物事にあまり厳密ではなさそうです。

  Sさんに続いて私の番。席は8割方埋まっています。男女半々くらい。100人以上もの人に注視されると日本ならあがるところ。でも相手は日本語が分からない。そう思うと至って気は楽です。簡単に自己紹介しましたが、私の一区切りに対してL氏の通訳がばかに長い。あとで聞いたら、自分の日本語学習経験も入れて話しましたと言っていた。

  続いてI氏。いきなり何か短い中国語を言った。聴衆が爆笑する。その後もちょいちょい中国語を入れる。その度に皆笑う。なかなか話し上手です。しかし話の大半は日本語だから隣のR氏が通訳する。それを聞いていて、I氏がどういう人か少し分かってきました。要旨は「10年以上前に初めてJ市に来てここが気に入った。以来、毎年来ている。ここは第二の故郷。日本に呼んだ人は皆、働きながら学校に行かせている。日本の生活はそれはハードだ。日本に行きさえすればお金になると思ったら大間違い。やはり真面目な人でないと続かないよ」ということ。おそらく日本で求人が困難になった時期、何かの縁でここへ求人に来たのでは?  そして毎年なにがしかのJ市民を自分か知り合いの会社で雇っているのだろう。そのことに感謝して、J市は氏に最高顧問という肩書を贈ったようです。

 それにしても、I氏が何でこの日本語教室の説明会に出席しているのか? L氏に聞いてみた。「この説明会には今日本に居る人の家族も、これから日本へ行きたい人も来ている。そういう人達に日本の生活のことを話して貰うために招待したんです。私やRさんが話すより信用されるでしょ」とのこと。今日本に居る人というのは分かるけれど、これから日本へ行きたい人というのがよく分からない。J市やR氏は蛇頭みたいなことをするつもりなのかな? I氏に続いて、R氏が滞日経験を語る。皆真剣に聞いている。それが終わって質問を受ける。I氏に対する質問が多い。中国語の質疑応答だから、内容は私には分からない。

 日本語クラスに関する質問はこんなものでした。

Q「どういう教え方をするのか」 A「なるべく実物、絵などを使って教える」

Q「大勢のクラス授業では十分交流ができないと思うが」 A「同感である」。質問者は説明会出席者があまりにも多いので、クラス編成も大きくなると心配したのだろう。

Q「最近は日本で就労するには日本語1級の資格が要るという話だ。このクラスで勉強すれば1級試験に合格するか」。なになに? 就労が最終目的か? A「中国で1級取るには外国語大学にでも入らないと無理ではないか」。

Q「では何級なら取れるか」。うーん。これは難問。 A「精々3級くらいだろう」。級が話題に上るとは意外だった。日本語学習の事情について案外詳しそうだ。因に日本語能力試験の目安は、授業300時間で3級となっている。勿論「できがよければ・・」の話だが。なお、このクラスの授業時間は125時間の予定だから、初級では3級にも達しない。中級を修了してもなお厳しい。

Q「初級、中級のクラス分けの基準は何か」。 A「後日相談して決める」。これは意表を突かれた。何も考えていなかった。

Q「中級を修了すればNHKの日本語放送が理解できるようになるか」。 A「当地ではNHKは入らないのでは・・」。実は昨夜、日本から持参したラジオで試したが入らなかった。私がそう言った途端、「入ります」と目の前の可愛い女の子が日本語で言った。質問者ではない。昨夜不成功だったと言うと、「いいえ、大丈夫です」。極めてハッキリした発音でキッパリと言う。はて、この子何者だろうか。 A「入るのであれば、毎日聞いていれば90%は分かるようになります」。本当はそうはいかない。しかし「無理です」とも言えないではないか。

  質問全体を通して、このクラスを修了すればどれくらい会話能力がアップするかに強い関心があるようでした。お金を払うのだから当然といえば当然だけれど、結果は本人の能力次第。「どのくらい」と言われてもこちらは困ります。

 会が終わって早速さっきの女の子をつかまえ、後日ラジオの調整に来てくれるように頼みました。名は董卉(トウ・フィー)。上海復旦大学の大学院生。既に日本語1級試験に合格しているそう。目下帰省中。今日は入学希望の姉の付き添いで来たとのこと。そういえば横によく似た女性が座っていた。姉というのはここの師範学校の先生の由。

  いずれにせよ、平日(火)の午後だというのに随分たくさんの出席者でした。しかし、Sさんが予告したTVの取材は没有。新聞も記者は来ていたのかもしれないけれど、取材はなし。なんだかよくワカラン説明会でした。

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