7. 街の様子
日除けカバー
左の女性にご注目。みんなこのように日除けカバーを付けています。(これは上海で撮影)

 この辺でちょっと街の様子を。

 市民の足は自転車かバス。バスはジーゼルエンジンですが、交差点なんかで停車すると自動的にエンジンも停止する。感心しました。ただ、再起動すると濃い排気ガスが出るわけで、果たしてエンジン掛けっ放しよりそれがプラスなのかどうか。

 タクシーは束になって走っています。ただし、ここのタクシーは小さい。日本だと軽自動車。日本のダイハツと中国の国営企業との合弁、天津汽車製造公司の製品。殆どが赤い塗装で、8割方はガタガタ音がするボロ車。窓のガラスが閉まらない、客席が壊れて前後左右に動くなんてのも走っています。要するにこちらでは、エンジンが動いている限りは正常という感覚なんですね。初乗りが7元。たまに6元の車もあります。これは少し小さい。貨物専用のバンは5元。市内(市街地という意味の市内)なら大体この初乗り料金で行けます。

 ちょっと用事があって一人で外出。Sさんに気取られるとうるさい。オフィスは4階。男性用トイレは3階、女性用トイレは2階にある。トイレに行くふりをして部屋を出ます。行き先はあるホテル。昨日打ち合わせのとき、市内にプールがあるかと聞いたら、R氏がそのホテルにあると言った。それを検分に。 

 市政府前で向こうから走ってくるやつに手を上げると、運転手が周りを見ながらためらい勝ちに止めました。女性です。乗り込んで、J賓館と書いた紙を渡す。うなずいて勢いよく発進。暫く走ったら車道に立っていた公安に停車を命じられた。公安が寄ってきて運転手に何か言う。運転手は車を降りて路上に立ち、しきりに抗弁している、ようです。そのうち私を指して何か言っている。公安は苦笑して私に向かい何か言った。分からない。今度は「ワイグォレン マ?」。外国人か?と聞いている。それくらいは分かります。だが、ここは分かってはまずいのではないか。キョトンとして分からない振りをする。もう一度、「リーベンレン?」。日本人か? こちらは耳を指して首を振る。「分からない」と言っているつもり。公安は「しょうがないな」という顔つきで、行けと手を振る。

 運転手喜んで車に戻り走り出す。走りながら振り返り振り返り何か言う。危なくてハラハラ。身ぶり手ぶりから察するに、どうも車道で客を拾ってはいけないみたい。これは後で知ったのですが、タクシーは車道と歩道の間の自転車道でないと停車できないらしい。しかし車道と自転車道は鉄柵で仕切られています。横丁がある所だけそれが切れており、車が入れるようになっている。私が立っていた所は切れめがない所で、タクシーは自転車道に入りたくても入れなかった。運転手は「エイ、ままよ」と止めちゃったんですね。それを公安に見られた。見とがめた公安が進路の先の別の公安にすぐに通報したのでしょう。停車を命じた公安は手に携帯電話を持っていましたから。中国の警察も案外機能的です。しかし、あれでもし私が言葉が話せたら、結果はどうなったのかな。

  辿り着いたJ賓館は前庭が広く、ゆったりした感じの新しいホテル。R氏の話では、ここには春秋の旅行シーズン、日本からの団体観光客が泊まるとのこと。担当マネージャーに案内されたプールは水質その他はまぁまぁだけむれど、競泳用ではない変形プールで、距離が最長19米しかない。おまけに利用料金が1回20元。タクシー代と合わせるとかなり高いものにつきます。サウナは?と聞いたら、それはまた別料金だと言う。それはまた随分ではないか。日本の私のスポーツクラブは距離25米、サウナ、ジャグジーバス、マシンみんな揃っていて、そして安いんだとかけ合ったけれど、マネージャー(この男もO)ニヤニヤ笑い、「ここはJ市で一番のプール」と繰り返すばかり。てんで話がかみ合わない。作戦を変える。サウナとプールセットで20元はどうだ。「それは上司に相談しないと返事できない」。そうか、じゃまた来るから聞いといてくれ。以上下手な英語で通じました。私プールで泳ぐのが唯一の健康法。19米では二かき三かきですぐターンになる。それはちょっと言い過ぎだけど、まぁ25米よりターンは多くなる。ターンばかりではかえって疲れる。とにかく、まともに泳げるところがないとは困ったものです。

 気候風土の話です。

 中国到着の日に猛烈な雷雨の洗礼を浴びました。だから漠然と、雨は日本と同じくらい降るのだろうと思っていました。ところがですね。この予想はものの見事に外れた。降らないのです。J市で暮らし始めてから2か月くらいの間全く降らなかった。これは内陸部のせいだろうと思います。初日に遭遇した豪雨は、後で知ったのですが台風の影響。そんな条件下で白く砂埃を被りながら草木がよく枯れないものだと感心しましたね。ちゃんと環境に順応しているのですね。

 毎日暑い。土地の人は顔を合わせると「暑いね」と言います。ちなみに緯度は南九州と同じ。だから連日30度を超します。しかし大気は乾燥しているし、それに私は元々暑さには強い体質。日本よりは過ごしやすいように感じました。ただしそれは昼間の話。夜はちょっと違います。深更になっても気温が下がらないので裸で寝ていても汗がツッーと垂れる。それでいて朝方には急に冷えます。それで忽ち風邪を引いてしまいました。

 急に話題を変えます。といっても暑さに関係する話です。女性の服装。これが凄い。どう凄いか。(全部ではないけれど)パンティーにブラジャーで歩いています。いえ。実際はその上にワンピースなどを着ているんですが、それが薄いんです。だから下がまるまる透けて見える。最初見たとき、真っ昼間お化けに出会ったような気がしました。

  今「歩いている」と言いましたが、大抵の人は自転車に乗って走っています。その自転車に乗っている女性の中に、わざわざスカートを持ち上げてハンドルに掛けている人がいるんです。少しでも風を入れようという工夫。まぁ下から見なければ丸見えにはならないけれど、随分大胆です。ただやっぱり、うら若い女性でそんなにしている人は一度も見かけませんでした。男の立場で言うと「見たい人はせず、見たくない人がする」というところ。

 しかし驚いたのは最初のうちだけで、そのうち次第に何も感じなくなりました。習慣というのはそういうものなんでしょう。その証拠に中国人の男は何も感じないようでした。
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