4. ポカラ -1 紅茶売り カトマンズ国内空港チェックインカウンター前。この女性はTeaを売っている。結構利用客がいました。
<4月29日>
 ホテルでコンチネンタルブレックファスト。200Rs。どこの国へ行ってもホテルの食事は高い。
午前8時。ポカラに向かうべくホテル提供の車で空港へ。昨日到着した国際空港は綺麗だったが、国内空港は工事中で汚い。カウンターも客用ベンチも壊れている。私の乗るロイヤルネパールは2時間のディレイド。国内航空は(パネルで見る限りでは)他にネコン・エアー、ネパール航空、エヴェレスト・エアーと三つある。各社各様の飛行機が30分に1回くらいの頻度で発着する。型は違うがみんな小さい。アナウンスは係員の肉声。スピーカーを必要とするほど待合室は広くないのです。

 所在ないので、立ってゴルフのスイングをする。肩を叩かれて振り向くと年配の白人が。頭を止めてこう振るんだ・・・とスイングして見せる。お前のはヘッドアップだと。思わず笑ってしまった。向こうで連れ合いらしい婦人も笑っている。教え魔はどこへ行ってもいるんですね。間もなく彼らは発って行きました。

インド人夫妻  隣のインド人と会話。美人の奥さんと小さい女の子を連れている。カルカッタの証券会社の幹部で、休暇でポカラに行くんだとか。「日本人は勤勉。日本は素晴らしい成長を遂げた。我々は日本人を尊敬している」とかなんとか、まるで機関銃のようにしゃべる。お世辞を言われたからというわけではないが、「来年インドへ行くつもりです」と言って名刺を交換。見ると、初っぱなにB.comonとある。「これは何ですか?」。「○×▲◎▽・・」。「?」。よく分からないから勘を働かせて「出身校のグレードですか?」。「そうだ」と胸を張る(後で別のインド人に聞いたら試験による資格である由)。「日本ではこのように出自を誇示することはないのだが」。「インドでは明示するのが普通なのだ」と悪びれる風もない。会話中、年齢のことなどで美人の奥さんも口を出す。子供も可愛いので写真を撮ってあげた。

 突然横から、サリーをまとった若い女性に「貴方は日本人ですか?」と日本語で声を掛けられた。「はい。そうです」。「私の父は日本で働いています」。「どこで?」。「イタバシです」。「何をしていますか?」。反応なし。「どこで日本語を勉強しましたか?」。反応なし。どうも特定の日本語を少し覚えているだけのよう。やや年輩の連れの女性がいる。この人は英語が話せた。当地で印刷業を営んでいる由。「ネパールにもカーストがあるそうだが」と聞いてみる。「今ネパールにもnew waveが起こり、我々もそうだが、カーストを維持しようなどとは考えていない」と毅然として言う。彼女たちもフライトが来てどこかへ発って行った。

 やっと我々の飛行機が来て出発。20人乗れるかどうかのセスナみたいな小さな飛行機。満席。低空飛行だから下界がよく見える。「耕して天に至る」のは日本と中国・雲南くらいのものかと思っていたが、どうしてどうしてネパールの方が凄い。山という山全部天辺(てっぺん)まで耕され、山頂近くに人家があるのにたまげる。水は一体どうするのだろう。後で知ったのだが、低地に住むとマラリアにやられるため、わざわざ高みに住むらしい。

 飛行30分で無事ポカラ着。飛行機を降りると、空港出口に客引きらしい男どもが手ぐすね引いて待ち構えているのが見える。飛行場と言うと立派そうですけれど、何しろ野っ原に掘っ立て小屋が立っているみたいな所ですからね。何でも見えちゃう。ここでも「地球の歩き方」で宿を決めるつもりだったが、それを見て気が変わった。こりゃうるさいことになる。ならば・・と写真を撮って上げたインド人に「貴殿のホテルに同行してよろしいか? もしそこが気に入ったらそこに泊まる」と話したら、「どうぞどうぞ」と握手する。握手するくらいだからいいんだろうと、彼らのタクシーの助手席に乗り込んだ。タダ乗りするつもりはない。ホテルに着いたら割り勘で払うつもり。

 タクシーは走り出す。外で客引きどもが口々に「ジャパニ○×△◎▼」と喚いて付いてくる。すると、美人の奥さんが何か言い始めた。その口調が激しくなって、運転手は車を停め、困ったような顔をして私を見る。そこで初めてこれは私のことらしいと気が付いた。よく聞くとこの奥さん、「このタクシーは我々のものでお前のためにチャーターしたものではない」と言っている。これが写真を撮ったときのあのにこやかな美人と同一人かと、我が目を疑うような凄い剣幕。まるで鬼です。亭主は黙っている。弁解するのも面倒なので車を降りた。

 間髪を入れず客引きが寄ってきて、別のタクシーに乗れと言う。タクシーと言ってもガタガタのカローラ。メーターなんかありません。「あの車を追うんだぞ」と念を押すと「OK」と言う。ところがいざ乗り込んで走り出したら、「我々の(客引きは二人でした)ホテルはレイクサイドで新しくて・・」とセールストークが始まった。「いやダメだ」と言っているのに、「見るだけでも」としつこい。後進国へ行くと、この客引きと押し売りと乞食が煩わしい。まだそれを楽しむ境地には達していない。そのうちに「あの奥方の顔をもう一回見るのもけった糞悪いな」という気がしてきた。「じゃ見るだけだぞ」とつい言ってしまう。かくしてインド人の車とは別れ、彼らとはそれっきりになってしまった。

 前々から本でも人の話でも、「インド人のメンタリティーはちょいと違う」とは聞いていた。最初タクシーに相乗りするとき「金は払う」と宣言しなかったのが手落ちと言えば手落ちだが、自分のミスを反省するよりも、むしろいい経験をしたという気がする。
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