5.ポカラ−2 Tropicana.Hotel HOTEL・TROPICANA
Khahare,Lake Side,Baidam
Pokhara,Nepal

 連れて行かれたホテルはレイクサイドも外れに近く、小さかったが確かに新しい。値段は8USドルだと言う。値切りにかかるが、やれ「見晴らしがいい」の「24時間お湯が出る」の「ついこの前日本人が5日も泊まっていった」のと、数人がかりでうるさいことこの上ない。根負けしてそれで手を打つ。すると今度はタクシードライバーが「明朝サランコット(ヒマラヤが見える山)へ行かないか」と言う。値段は20USドル。「えらく高いではないか」。「朝5時に迎えに来て山に登り、1時間待つのだから高くない」。「17ドルにしろ」。「仕方がない。OK」と商談成立。このホテル、電話もTVもないが屋上にソーラー温水器を設置している。器材は日本製だそう。

ポカラ湖  まだ陽が高い。レンタサイクル(1時間10Rs)を借り、レイクサイドを奥に向かって走る。白人のトレッキンググループとすれ違う。「Good afternoon」と言ったら「ナマステ」と返された。外人は本当にタフだ。相当な距離を歩いてきたのだろうに、疲れた色も見せずに早足で去る。
 (写真)正面の岬には王室の別荘がある。王室は大金持ち。国民は貧しい。だからこの国の政情は不安定です。

 ジープを改造した乗り合いバスがエンコしている。運転手がしきりにエンジンをいじっているが、乗客は泰然としている。慣れっこなんだね。これが日本だったら大変だ。

 尻が痛くなって休んでいたら、忽ち子供が寄ってくる。一人年嵩のが「観光ポイントを案内する」と言う。白人と混血のような顔。目も青い。アーリア系だろう。「尻が痛いから観光はやめだ」と断ったら「タクシーにしろ」と言う。1時間200Rsだそうだ。OKしたら自転車ですっ飛んで行って、待つほどもなく車を連れてきた。ガタガタのカローラ。これであちこち回る。ときどきエンスト。

 最初に行ったのが滝。湖の下手にある。乾期なので干上がっていた。入場料5Rs。観光客など一人もいない。にもかかわらず、土産物屋がズラリと並んでいる。1軒から「ニーハオ」と声が。へぇー。オレは中国人に見られたんだ。今回の旅行中これが唯一の誤認。

 次は洞窟。町の北の外れ。ポカラの町は山裾に、北が高く南が低く、細長い布が張り付いたような形をしている。滝は南の外れだから、町の真ん中の目抜き道路をノロノロと北上する。スピードが出ないのは車がポンコツだからということもあるけれど、牛のせいでもある。牛が道路の真ん中で立ち止まっていたり歩いていたりするものだから、勢い車は徐行せざるを得ない。これなら交通事故は起こるまい、と思ったがさに非ず。帰り道。バスと乗用車が衝突したばかりの現場を見た。
干上がった滝壺

 町を出外れてなお、かなり走って到着。ジュースやフィルムなどを売る店が数店。こういう光景はどこも同じ。入場料5Rs。10人ほどの団体がいる。ガイドの説明は中国語だ。台湾か香港か。洞窟は鍾乳洞ではない。何でこんな穴ができたのか分からない。中はダラダラと下り坂で、ドン詰まりまで50mくらいのもの。所々に電灯がついているだけで、別になんと言うこともない。ワザワザ行くような所ではありませんでした。

 案内の子供が中で石にけっ躓き、ゴム草履の鼻緒が抜けた。直しながら「これだからサンダルは嫌だ」とブツブツ言う。「もっと奥の方にチベットのお寺があるから行こう」と誘う。もういいと断り帰路につく。道々子供は「あんたはいい靴を履いている」と誉める。そのうちに「靴が買いたいんだ。300Rs呉れないか」。「ノー」。今度は「そのTシャツはいい」。「その時計はすばらしい」。「呉れ」。しつこい。この子供の将来のためにならないから断固断る。次第に分かってきたこと。寄ってくる子供はみんな、こちらの身に着けている物を呉れと言います。

 宿に着いて、乗った時間は1時間30分。300Rsのところを400Rs。少し気前がよ過ぎたかな。子供には100Rsやった。「これでは少ない。記念に千円札を呉れ」と粘る。こいつ相当スレている。見ていた宿の親父が一喝したらすぐに消えた。
 
 このホテルは食事なし。宿の親父に聞いてピラミッドというレストランへ。この親父はアフガン人みたいな顔をしている。英語もこちらの話すことは分かるんだが、向こうのは訛りが強くてなかなか分からない。ピラミッドまで歩いて5分。客は白人ばかり。チキンチリソースとサンミゲルビールを注文。「ビールはiced」と言ったものだから、ICEBURGというのが出てきた。coldと言うべきだったのか。料理はおいしかった。そしてボリュームがある。この後どこでも多かった。ビールはまずくて、改めてサンミゲルを頼む。雷鳴が近づき激しい雨。いよいよ雨期なのだろうか。停電。ボーイが蝋燭を持ってくるが、風ですぐ吹き消されてしまう。すると「ほや」を持ってきた。それが何と、ペットボトルの底を切り取ったもの。勘定は240Rs。小止みを待ってホテルに向かう。

 途中また激しく降ってきたので、雑貨屋の店先に逃げ込む。店の土間に何やらボロ屑みたいなものがある。よく見ると筵の上に老婆が寝ているのだ。店の隣に3畳くらいの小屋があって、土地の衆が酒盛りをしている。皿を叩いて土地の歌を変わり番こに歌っている。楽しそうだ。覗いたら、「ジヤパニか? そうか。入って座れ」と言う。透明な酒を勧められたが丁重に断る。そのうちに客同士の口論が始まった。一人が相手に「Arrest me !」と繰り返す。ということは、相手は非番の警官だろうか。奥のカーテンが開いて、主らしき若夫婦が心配そうに顔を出す。奥は2畳くらいの土間で、赤ん坊がボロにくるまって寝ている。嫁さんは腹が大きい。主がいるのに、また口論の原因も分からないのに、「さて仲裁するかどうするか」と余計な思案をしているうち、何となく口論は収まって人ごとながらホッとした。雨が小降りになったので「Have a good time」と辞去。みんなニコニコして手を振ってくれた。

 夜半、腹痛と共に下痢。食当たりか?  ビールの飲み過ぎか? はたまた窓を開けて寝たせいか?  持参したホカロンを取り出したら、何と固くなっている。それでも気休めに腹に貼りつけてまた寝る。
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