11. コインブリガ 丁度カーニバルの時期なのに、何も知らずに出掛けて行き、帰りの足に困りました。やはり下調べは必要ですね。

 ローマ時代の遺跡です。駅前のバス停から朝9時、930分と2本のバスが出る。所要時間約30分。二日目の朝、930分に乗るべく早めに行って待機していたがそのバスがなかなか来ない。我々の他に肥ったおねぇちゃんと可憐な旅行者らしいおねぇちゃんも待っている。定刻を20分過ぎたところで堪り兼ね、肥ったおねえちゃんに「4人でタクシーに相乗りしないか」と声を掛けた。おねえちゃんが「遺跡までだと相当高いですよ」と言った途端、見計らったようにバスが到着。運転手が遅刻を取り戻すべくバンバン飛ばして、やがて着いたところは段丘状の山の上。立派な建物があって、中は博物館にレストランが付属している。一見複雑な地形だと感じたが、果たして博物館内の地形図には、当時ここは海の入り江だったとあった。とするとかなり隆起したことになる。肥ったおねえちゃんは何とここの職員でした。道理で「タクシーだと・・・」と知っているわけだ。

遺跡といってもポンペイほどの規模ではない。また地上の遺構も殆どない。辛うじて城壁みたいな壁の残骸と、水道みたいな地下の施設、それから庭園のモザイクが残っているだけ。それら遺構は野原に散在していて、多くは地下で目に付かない。だから番号札が立っていて、客はその番号に従って歩く仕組みになっている。だがその番号札も見通しが悪くてよく分からない。途中で迷って、さっきの可憐なおねえちゃんに「あんた分かるかい?」なんて聞いたりする一幕もありました。だから、格別の感銘はない。むしろ遺跡脇の峡谷の樹相の濃さが印象に残った。雨が多い土地だと一目で分かる。日本の深山幽谷に似た趣がありました。

城壁の残骸 庭園に残るモザイク

帰りのバスは午後1時だ。時間に余裕があるから付属のレストランで食事する。ほらベニスで利用したでしょう。あのセルフサービス方式です。大皿一杯の野菜サラダにジャガイモで済まそうとしたら、日本人と見て前掛け掛けたマスターが「てんぷーら」を勧める。そうか、テンプラはポルトガル伝来だったな。「いいでしょう。これも話の種」と注文する。これは特注で、後から持って来たが衣が分厚くてね。中に何が入っていたっけ? 思い出せないような代物でした。

午後1時。博物館前でバスを待つが、待てど暮せど現れない。1時間待っても来ない。博物館に戻って肥ったおねえちゃんに「来ないよ」と訴えたら、「今日は午後6時の便しかありません」と言う。今日は国中カーニバルのお休みなんだと。いや参ったな。そう言えばさっき、朝一緒だった可憐なおねえちゃんは歩いて出て行った。彼女はそれを知っていたんだ。非キリスト教徒はカーニバルなんて意識しないもんナ。知らぬが仏。いや、キリストだ。

タクシーを呼んで路線バスがある村まで運んでもらうことになり、肥ったおねえちゃんの上司らしい職員が電話をしてくれるんだが、これがなかなか通じない。みんなお祭りで出払っているらしい。八方に電話してやっと一台捉まえてくれた。非常に親切。まぁ相手も暇だから・・という見方も出来ますが、ここはやはり素直に感謝感謝。

タクシーが送り届けてくれた所は本当に小じんまりした田舎の村。小さな教会の前にバスが止まっており、丁度運転手がドアを開けたところ。客が順に乗り込み、さっきの可憐なおねえちゃんもいる。ここまで歩いて来たんだね。

 席についたところで、家内が「彼女は食事してないのでは?」と、日本の「あられ」を上げた。サンキューと言ってポリポリ食べる傍ら雑談。英国人だとのこと。スペインの田舎町で英語の教師をしていて、休みを利用して旅行している。18歳くらいに見える。随分若い先生だと言ったら、25歳だと。ポルトガルの印象はどうかと聞かれた。今夜電車とバスでスペインに戻る。明日は仕事だと言っていた。ただそれだけのことだったが、写真を撮っておけばよかった。人生一期一会だからね。

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