14. オビドス

ナザレには3泊の予定だった。だが来てみると、見るような所は無い。ここは夏、砂浜に寝っ転がってバカンスを楽しむ人種が来る所なんだな。だから1泊で切り上げ、次の予定地オビドスに向かう。


 若者達はリスボンに行くという。彼らが予定しているペンサオは安くて清潔だと聞いて、一日遅れで我々も行くからと、予約を依頼しておいた。

オビドスはリスボン方向へバスで1時間程度走った所にある。周囲を城壁で囲まれた中世そのままの町。住民が800人程度だそうで、本当に掌に乗りそうな小さな町。代々の王が王妃にプレゼントした王妃直轄領だとか。

バスは城壁の外に止まる。降りたところでタクシーの運転手が「乗らないか」と寄ってくる。家内は予定している宿はそんなに遠くないだろうから「歩いて行こう」と言う。しかし、まず城門らしい所までが階段だ。更に城門を潜った後どれくらい歩くのか分からない。そして決定的なことは、道はすべて石畳。トランクゴロゴロが大変。下手するとキャスターがもげてしまう。だから、タクシーに乗ることにする。

城門の中はクランク型になっている。一旦入って直角に右に曲がり、更に直角に左に曲がる。見通しが利かない上に狭いから、自動車の通行は危険だ。しかし、やはり自動車は生活上必要なんでしょう。赤青の信号が付いていて、車はそれを見て出入りするようになっていました。タクシー((おベンツ様ですよ)は階段を迂回してその城門を潜り、町へ入ったところで停車。その辺の住人に、家内が示したホテルがどこか聞いている。知らないんだよな。小さな町なのに。やがて分かって、そのまま直進。右折。右折。曲がるときは人家の壁スレスレ。こちらベンツの横っ腹こすったら大変じゃないかと、貧乏人根性丸出しで冷や冷やする。やがて止まった所はさっき訊ねていた場所の直下の道傍。乗ってから降りるまで5分も掛からなかったような気がする。距離にしてもバス停から100米あるかないか。それで5ユーロ。でも荷物が多い(大きい)ときはしょうがないですね。

おかみさんが上の(傾斜地なので)土産物屋から出てきて、「部屋は二つ。どちらにしますか?」。どちらも清潔だが、空気がなんかひやりとする。日当たりが悪いんですね。屋外の壁にカビが生えているものね。ま、また荷物持って別の宿を探すのも億劫だ。比較的明るい方の部屋を選んで、町の見物に出かけることにする。

町をぐるりと取り囲む城壁の上がそのまま遊歩道になっている。ちょっと狭い部分もあって、そこがちょっと高みだと足がすくみますけれど。しかし、お天気はいいし、眺めもいい。なかなかのものでした。

奥が昔の宮殿。今はポザータ(ホテルのこと) 17世紀頃作られた水道橋です

城内は見るだけなら1時間で事足りる。城門の外のインフォメーションへ行き、明日のリスボン行きバスの時刻を調べる。ついでにその近くのCafeで食事。ビザにコロッケ。コロッケはポルトガル伝来だったかな? 今調べたらフランス語のクロケットが語源だそうな。ともあれ、Cafeなのに意外においしかった。ビールもおいしい。

近くの博物館を覗きに行ったら、「2時まで閉館」と言う。では宿に戻り、昼寝しましょうということになった。

ベッドカバーをめくったら湿気でジトッとする。いやぁ、こんなベッドには寝たくない。もう町は見ちゃったし、夜は何もすることなさそう。それならいっそ、ナザレへもう一度戻ろう。ガッカリ顔の宿のおかみに2ユーロ払って引き払い、トランクゴロゴロ転がしてバス停へ。キャスターがもげないように浮かして転がす。これ大変。

小生はバス停に。少し時間があったので家内は土産物屋を冷やかしに。家内が戻って来るまでにダブルデッキのバスが来た。どうもリスボン行きらしい。それが行っちゃってから、「そうか。リスボンへ行っちゃう手もあるな」という気が。小さい町はどこも綺麗だけれど、見る所は判を押したように教会、修道院の類ばかり。リスボンならその辺ずっと変化に富んでいる。そうだ。そうしよう。戻って来た家内にそう告げて即決。こういう如何様にも変われる点が自由旅行のいいところです。

 リスボンへは1時間半ほどでした。続きはまた明日。

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