8. ブラガ ガイドブックには、ポルト近郊の見るべき所としてギマランイス、ヴィアナ・ド・カステロ、ブラガと三つの町が上げられている。

 見所はどこも教会と城跡と博物館。大同小異。我々はこの中で一番近いブラガへ日帰りで行くことにした。近いということの他に、ここは古い宗教都市で巡礼地であると書いてあったから。

 宿は市庁舎前の広場に面していて、その広場では大きな穴を掘っている。おそらく地下駐車場を作るんでしょう。連日夜も遅くまで騒音でうるさい。2泊したところで我慢できず、三日目の朝、別のホテル(HotelParis 40ユーロ)に引っ越し、そのままブラガに向かう。ここで宿の主にバス、電車どちらがいいかと聞くべきだった。それを怠って本数が多そうな電車を選んだのが失敗だった。

 ブラガ行きはサンベント駅から出る。市庁舎前広場からすぐの所。駅構内の行先掲示板をいくら見ても「ブラガ行き」は見当たらない。そもそも日本のような一日の全発着時刻表が無いんです。そういう点は抜けていますね。
(写真)サンベント駅。壁面は有名なアズレージョ
。あいにく修復工事中でした。

 仕方がないからインフォメーションへ出向いて、時刻表を呉れと言った。係の肥ったおねえちゃんはあちこちに電話掛けて机の中、棚の中を探すんだが見つからない。面白いと思ったのは書類綴り。普通はルーズリーフ式か袋入りかでしょう。それがみんな表表紙と裏表紙を紐で縛る箱式なんだ。なんか中世の書籍を見るような感じだった。さんざ探した挙句、おねえさん曰く「私は臨時の係なの。時刻表は見つからない。一体どこへ行くの?」とのたまう。「ブラガ? なら○○分の電車に乗って、○○で降りて後は
 バスで行きなさい」と紙に書いてくれた。うーん。ガイドブックには電車が通じていると書いてあるんだが。しかし、インフォメーションでそう言うんだから・・・・。        

切符売り場へ行って書いてもらった紙を見せ「○○」と言ったら、相手は「ブラガへ行くのか?」と聞く。「そうだ」。そしたら行き先表示ブラガとあるチケットを寄越した。はて面妖な。インフォメーションが言うことと違う。

空いた電車の空いた車両に座っていたら、検札が来てここは一等車だと追い出された。へぇー。今どき一等車なんてものがあるんだ。二等車に移った後この車掌が来たから早速質問。周囲の乗客の好奇の目が集中する。「幾ら出せば一等車に乗れるの?」。この車掌小生の英語が聞き取れない。書いたら分かった。「あと2ユーロと少し。乗り換えるか?」。いえいえ結構。チケットを見せて「降りる駅はあと幾つ?」。「オレが教えてやるから心配するな」と、言ったみたい。駅に着く度に「あと三つ」、「あと二つ」と指で教えてくれた。

ポルトから40分も走ったろうか。「ここだ」と言われて降りた駅は、まぁ何の特徴も無い殺風景な無人駅。走り出した電車から車掌が「あっち」と出口を指差す。指された方へ行くと路傍に急造の小屋がある。今同じ電車から降りたらしい労働者風の男が一人。切符を見せて「ブラガ?」と聞いたら、そうだと頷く。彼もブラガらしい。駅前の道路に沿って家並みは連なっているもののまるで人気なし。辛うじて対面のガソリンスタンドとCafeに人影が。しかし、車はひっきりなしに通る。通る奴はみんな、我々を珍しい動物を見るように眺めて通り過ぎる。なんとこの状態が1時間50分続きました。もうブラガ見物は諦めて次の電車で戻ろうか・・と言っているところへ、やっとバスが現れた。同じブラガ行きの男がいなかったら、そしてもしポルト行きの電車が来たら、本当に諦めて帰るところでした。

察するに、どうもここから先、線路の付け替えかルートの変更か、大規模な工事をしているらしい。なぜかと言うと、降りたホームの隣に古い駅の壁だけが鉄骨に支えられて立っていた。これは保存または再利用するつもりなんでしょう。乗ったバスでブラガへの道中、ときどき線路が現れたかと思うとすぐ消える。川に作ったばかりの新しい橋脚があったりする。バスは同じCPの「つなぎ」のバスなんだ。だから切符もブラガ行きの通し切符なんだ。そしてもう一つ重要なポイントは、途中下車した○○からブラガまでは支線だということ。それでないと我々がサンベントで乗った電車がそのまま真っ直ぐ行っちゃった理由が説明できない。おそらくあの電車はポルトガル北端のヴィアナ・ド・カステロ行きだと思います。そちらが幹線。ブラガ行きは枝線。分かってみればどうということはないが、それにしてもバス待ちの1時間50分は長かったです。ところで、バスの中から眺めたこの辺りの土地は葡萄畑が多かった。そして民家も農村にしては稠密で、裕福そうな綺麗な家が多かったです。

やっとの思いで辿り着いたブラガは雨。降ろされたバスターミナルは地図にあるターミナルではなさそう。周囲はまるで人気が無い。タクシーはいない。歩こうにも、町のどの辺りにいるのか見当がつかないから、どっちの方角に歩けばいいか分からない。やむなくずっと先に見える大通りまで行ってタクシーを待つが、捕まえるまで雨の中30分かかりました。

タクシーで約10分走って町の中心へ。さすがに古い町だけあって、美しい植栽の公園を堂々たる教会などなどが囲む立派な佇まい。でも時既に午後2時を回っている。だから手近かなレストランへ飛び込み食事した後、見物はカテドラルとペリカンの噴水を駆け足で見ただけ。後は割愛。町中心部に程近い本来のバスターミナル(Rede Expressos)へ駆け込み、早々に帰ってきました。(写真)ペリカンの噴水。

そのバスターミナルへの道順を偶々立っていた二人連れの警官に尋ねたら、その警官返事をしない。英語が分からないんですね。幸い近くにいた若い女性が通訳してくれた。どこへ行くのか?と聞くから「ポルト」と答えたら、「ポルトはいい。美しい町だ。ブラガはno good」と陽気に笑いながら言う。どうも地元の大学生のようでした。これがブラガで唯一の面白かった思い出です。


 巡礼地のボンジェズスは町の外れの山の上に威容を見せていましたが、見に行く時間的余裕が無かった。たいへん残念でした。

 繰り返しになりますが、ガイドブックを100%信用してはいけません。やはり出かける前は予定をホテルに話し、情報を確認するべきです。
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