06.10.20 日語能試聴解-2
絵のある問題
出題者って一人なんだろうか? これだけの問題を考えるのはさぞかし大変だろうな。
続きです。

 ここで生徒達がどうもパッしないとこぼしても始まりません。実態がどうなのかをなるべく客観的にご紹介する。そして、そこに何か特徴が表れているかどうか。まぁそんな作業をしてみようと思います。暫くお付き合いを願います。

 I.どういう問題が出来てどういう問題が出来ないか。II.そしてそれは何故か。I.の例示は簡単です。全問の正解率を表にしてありますから。しかしII.を正確に説明することはこれは非常に難しい。間違える原因は多種多様。しかも、本人に聞いても他の生徒に対する見栄があるから、必ずしも本当の事を言わない。また本人に正直に言うつもりはあっても、得てして正確に表現出来ない。要領を得ないのです。ですから、下の説明はあくまでも私の推定です。

 出来る問題出来ない問題。全問を書いたら膨大なものになる。極端な例を少しだけ挙げます。なお、教材は平成14年度実施の本物の問題です。

 <出来ない問題>
1.絵のある問題
A. 寝室にベッド、ソファ、テーブルセットがあるのと、ソファはない絵。更にベッドの位置が真ん中と隅のケース。この組み合わせで4枚の絵がある(写真)
 ナレーション:「女性;あーあ、ソファ買わなきゃ良かった。ベッド真ん中におくと狭くてしょうがない。男性:まぁしょうがないよ。ベッドは隅に置けば・・。 女性:でもそれじゃのびのび出来ないじゃない。(会話続く)・・。じゃ仕方がないわ。そうしましょう」。
 {質問}部屋はどうなりましたか?
 <正解率>23%。ソファ、テーブルセットの他、ベッドが隅にある絵(1)が正解。ソファが無い絵を選んだ者が多い。
 <誤答の理由> 「買わなきゃ良かった」という言葉の意味が分かっていない。「買わなかった」と理解している。

B.「1.雨 2.空気の汚れ 3.ゆれ 4.寒さ」と、選択肢として字だけ書いてある(写真)
 ナレーション:「この地域はこの数十年気温の変化もなく、樹木にとって安定した環境でした。しかし3年前に幹線道路ができたため大型車が通るようになり、その震動が樹木に悪い影響を与えています」。
 {質問}樹木に良くないのはどれですか?
 <正解率>23%。正解は3.の「ゆれ」。
 <誤答の理由>二つ考えられる。1.震動=「ゆれ」とは知らなかった。或いは「シンドウ」が何か分からない。2.環境に悪いのは排気ガスという先入観念が働いた。

2.絵のない問題
A.「女性:お隣のご主人警察に連れて行かれたんだって。会社の上司に言われて悪い事したんだって。可哀想ね。上司の命令じゃ仕方がないのに。男性:うーん。そうは言ってもやったのは本人だからね。それは立場上随分悩んだろうとは思うけれど。(女性の同情的な話が続く)・・・」。
 {質問}男の人はお隣のご主人についてどう考えていますか?
  選択肢:1.上司に言われてやったことでも本人に責任がある。2.上司に言われたことだから仕方がない。3.上司に言われて悩んでいただけ。4.上司に言われたことをするのは当然だ。
 <正解率>7.6%。正解は1です。2と4を選んだ者が多い。
 <誤答の理由>「やったのは本人だからね」はいわば省略話法です。言外に本人の責任と言っているのですが、これが汲み取れない。

B.「スーパー店員(男)が客に電話:リンゴをご注文頂きましたが間違えて苺を送ってしまいました。本日届きますが配達の者に「注文していない」とおっしゃって下さい。持ち帰りますから。リンゴは明日お届けします。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」。「客の女性:分かりました」。
 {質問}男の人はどうしてほしいと言っていますか?
   選択肢:1.受け取らない。2.食べる。3.預かる。4.受け取って後で送り返す。
 <正解率>0%。全滅です。正解は1。
 <誤答の理由>「注文していないとおっしゃって・・」か「持ち帰ります」の意味が分からなかった。

 特徴として、私の生徒達は「日常会話」または「テキストに出てこないような言葉」に弱い。そう感じています。例をもう一つ挙げますと、

 「女性二人の会話:女1.吉岡さんのギターちょっとしたものらしいわよ。プロ並みだって。女2・あらそうなの」。
 <質問>吉岡さんのギターはどのくらい上手ですか?
 <選択肢>1.とても。2.まぁまぁ。3.人並み。4.ちょっと。
 <正解率>30.7%。当然1が正解ですが、こんな簡単な問題が何故出来ないのか。それは「ちょっとしたもの、プロ並み、まぁまぁ、人並み」。このようなまぁ「平たい」とでもいうのでしょうか、そのレベルの言葉を知らないんですね。

 生徒の職業構成ですが7割が社会人、3割が学生。この実戦テストで1級の合格点70点には達しないもののスレスレの69点を取った生徒が3人いて、うち2人が社会人(いずれも日系企業社員)、1人が学生(日本語科)。やはり日頃、日本人・日本語との接点が大きい生徒が上位に来る。残りの人達は日系企業に就職したい、会社が日本と取引があるから、日本のアニメが好きだからなどが受験の動機ですが、日常日本人・日本語に接することがおそらくそんなに多くない。接触度の差がそのまま成績に出る。

 ということはつまり、「言葉は習うより慣れろ」。これは真実だと思います。また長くなりました。「出来る問題」は次にします。
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