07.01.04 中国の教育
「中国農民調査」
陳桂レイ 春桃共著
文藝春秋社刊  

中国では発禁になっています。

 
皆さん 明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

 今日は中国の教育水準について日頃考えていることを少し書いてみます。「考えている」と言っても、正確に言えば、こうではないか?という「憶測」に過ぎません。

 私は民間のいわゆる培訓中心で日本語を教えています。学習者の学歴は殆どが高卒程度で、かつ「あいうえお」から始める初級レベル。他方、昨年11月からあるIT企業に出張して社員に教えるようになりました。こちらは全員大学卒で、日本語のレベルは初級の後半(3〜2級)程度です。その両方の場で目に付くこと気が付いたことから、或る程度中国の教育の内容が推測できるというお話です。
 
 <生徒の教師に対する態度>
 一般に教師の待遇は良くなく従って社会的地位も低い感じですが、教育の場では日本よりは尊敬されています。

 私の今の場に即して言いますと、概して培訓の方より企業の方が態度がいい。培訓の方には「お金を払っている」という意識があるのか日本みたいに教師を友達扱いする生徒がいます。企業の方が礼儀正しい理由としては、一つは全員大学卒ということ。また、その企業では「先生には敬意を表すように」と教育していることがあります。具体的には顔を合わせたら「先生」と挨拶する。廊下ですれ違うときは道を譲るなどです。

 質問またはテキスト朗読のとき生徒を指名します。すると指名された生徒は必ず起立する。これは培訓でも企業でも同じです。上師大でもそうでした。私はそれはさせません。時間のムダだと思うからです。培訓の方は言うことを聞きますが、企業の方は最初こそ私の言うとおりにしていましたが、立たないとどうも調子が出ないと言う。そこで最近は「それじゃ立ちたい人は立ってもいいよ」と許容しています。

 培訓の生徒が私の(「立つな」という)指示に従うのは、座っているのが筆記台とセットになっている椅子なので立ち難いからだと思われます。本来は立つべきだと感じているのかも知れない。こういうところから、中国では小学校から大学に至るまで、教師の指名に対して生徒は起立して答えることが徹底して躾られているものと推測されます。私は必要ないと思っているのですが、これはもしかすると大切に守るべき美風なのかも知れない。

<漢字の書き順>
 培訓の方も企業の方もひどい。呆れるばかり。どうもこれは学校でキチンと教えていないのではないか? 私はそう疑っています。何故なのか?

 紹興の三昧書屋でしたか魯迅が幼時勉強したという所。昔の学校はああいう寺小屋みたいな所で教師が生徒一人一人に手ずから筆に手を添えて字を教えたのでしょう。だから教育のある人はシッカリした字が書けた。

 新中国になって学校はどうなったか。都会では学校は施設・教師とも一応整備されている。しかし地方の末端に行くと義務教育とは名ばかり。日本名「初恋が来た道」。あの映画の舞台の小学校。それはそれはひどい建物です。教師がいなかった。やっと町から若い教師がやって来た。そこから物語が始まる。村の人たちに取ってはその教師は文明そのものなのです。光明なのです。私は高校卒業後1年間、僻地で代用教員をしました。だからあの状況はとてもよく分かります。

 そして問題なのは、今でもああいう所が沢山あるということです。

 「乱収費」。官吏が人民からやたらに金を取ること。長年問題になっています。何十何百とあるその項目中に教育費というのがある。日本では父兄からは給食費とかPTA会費くらいしか徴収しないでしょ。中国では教育に対する国庫負担はゼロ。学校施設の維持管理費から教師の給料まで全部人民負担なのです。そのうえ徴収した金の使途が曖昧。そういうことで田舎の学校では教師に満足な給料が払えない。当然、教師のなり手がいない。またはいい教師を雇えない。だとすると多くの学校では、教えることの中で、字の書き順など二の次三の次にされているのではないか。私はそう推測するのです。

 ただこう書いて心配なのは、今の日本の子供も書き順は出鱈目なのかも知れない。私は今、自分の受けた教育を基準にしてモノを言っております。念の為。

(注)地方の義務教育の状況については、私の見聞を ↓ に少し書きました。
 http://www.kodaijin.sakura.ne.jp/guiyan4.html

 文盲が多いことについての実体験も ↓ こちらに少し書いてあります。
 http://www.kodaijin.sakura.ne.jp/xiamen85.html

(注)乱収費についてはちょっと高い(2800円)ですが、「中国農民調査」 (上の写真)をご覧下さい。中国では発売後2ヶ月で発禁になった本です。農民が如何に苛斂誅求に苦しんでいるかよく分かります。なお、最近は国庫から義務教育に補助金が支出されているようですが、それは本当に少額で、大海に目薬を垂らす程度らしい。
  
 長くなりますから一度切ります。
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