07.01.05 中国の教育−2
マオ
ワイルドスワンの著者が書いた本。毛さんはコテンパンです。当然,中国では出版されていない。

 昨日の続きです。

 <知識水準>
 このことに関しては今までに何回となく繰り返し書きました。本当に物を知らない。それが文盲ならまだしも、大学出でもそうなんです。また、地方でも上海でも同じ。ということは、これは中国人全部に共通する特徴と言える。

 具体的に言いますと、外国事情に疎いのは理解できます。けれども身近なこと、例えば珍しい姓の生徒に「君のお父さんはどこの出身?」と聞く。大抵が「知りません」と答えます。自分の出自について関心がないのかしらん? それじゃみんな、毎日どんなことを考えて生きているのだろう。これは非常に興味深い問題です。

 企業の方で環境問題について話したことがあります。中級のテキストにそれが出てくるから。中国の人がポイポイ物を捨てる。するとそれが川から海に出て、海流に乗って日本の海岸に漂着し、日本人が大変迷惑している・・・と実例を話しました。するとみんな目を見張る。「嘘だ」という奴は一人もいなかった。その点は感心。

 で、水俣病を例に挙げ「日本は公害克服で大変苦労した。現在中国の公害はひどい。中国政府も遂にこれは放置できないと公に言うようになったよ」。そうしたら、一人が「公害出すのは外資企業でしょ」と反駁。外資が勝手に中国に来て、公害を垂れ流しているんだ・・・と言うんですね。エキサイトした口調ではありません。冷静。頭からそう信じているのでしょう。

 そこで、事業を興すには先ず「人・物・金」。そこから説き起こした。中国には資源と労働力はある。けれどもお金がない。お金=資本。そして人にもいろいろある。知識のある人=技術。これがない。だから中国政府は熱心に外資を導入した。外資、特に日系企業は公害の悪影響を経験済み。公害には細心の注意を払っている。公害を出すのは中国企業だよ・・・と。反駁はなかった。納得したのか、或いは反駁するだけの知識がないからか。

 そこで私はもう一歩踏み込んだ。最近中国は外貨準備高世界一になった。輸出が好調な結果です。で、その輸出額の50〜60%は外資系の製品。外資導入が無かったら中国の今日は無かったんだ。生徒は25名いますが全員シーンとなった。みんなヒアリングに難がありますから、以上の説明は白板に書いている。一人が手を挙げ、「外貨って何ですか?」。エーッ! 外貨を知らない?

 全員理工系出身ですからまぁ外貨を知らなくてもしょうがないのかな。けれども、もっとひどいのは中国史や文化について無知なこと。「己の欲せざる所を人に施すこと勿れ」。これ誰の言葉か知ってる? 返事がない。孔子と書いたら、これは辛うじて2〜3人が知っていました。

 日本では漢字を使っているが、同じ字でも読みが違う。それは日本に入って来た時代と中国の(出元の)地方が違うからだと説明します。例として「行」。コウ、ギョウ、アンと三つあります。呉音、漢音、唐宋音。このそれぞれについての説明で、「南宋の首都は?」と聞いたら一人も知らなかった。ウーン。

 生徒は殆どが東北出身です。だから南方のことは知らないのか。それともこの連中は特別出来が悪いのか。会社の人は「大学を回って出来のいいのを選りすぐって来た」と言っている。この連中が本当に優秀かどうかは兎も角、他のことではまぁ真っ当な感じです。少なくともバカではない。ということはどういうことなのか?

 結論を先に言うと、これは政治体制と関係がある。上師大の時にも同じ疑問を持ち学生に聞いた。中学高校で歴史は習わなかったのかと。答えは「歴史・地理は受験の必須科目ではない。政治の成績が一番重視される」のだそう。それなら必然的に歴史・地理の知識は乏しくなりますね。

 更に言うと、新中国成立後は知識人は迫害された。また旧来の文化、例えば儒教も迫害された。決定打は文革。文化人、ただ書籍を持っているだけでも、知識階級は丸ごと問答無用で迫害された。暴力で中国文化の伝承は断ち切られたのです。そしてその後遺症が未だ残っている。それは教師の質。あの文革の時代、○○○語録以外の本なんか読めなかった。それより何より、学校が授業どころじゃなかった。そんな状態でいい教師が出て来ますか? この後遺症がこの生徒達に幾分かでも現れているのではないか。そう思うのです。

 それにしても・・・です。学校で習わなくても自分がその気になれば或る程度の知識は身に付く。どうして中国人は自分の出自、自国の歴史、自国の現状に興味・関心を持たないのか。これは依然として謎のままです。

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