01.07.11  突発事故
立ち往生
白い大型が我々のバス。前から10~15番目くらいでしたか。
 中甸を離れ帰路につきます。途中、長江第一湾と虎跳峡を見て、今夜の泊まりは大理の予定。道は下り。ゆっくり行ける筈でした。それが工事中の悪路を突破し、渓谷の道に入ってから飛んでもないことに。以下は当時のMLへの投稿です。

 古代人@上海です。雲南省に旅行中遭遇したアクシデントについてリポートします。

 狭い峡谷で、川の増水のため道路が冠水し、通行不能になりました。リポートしたいことは二つです。一つは当局者の対応。二つ目は民衆の対応。

 現場で立ち往生してから初めて聞いたのですが、冠水は午前3時に発生し、通行不能になったとのこと。日本ならば、事件発生を知った時点で直ちに交通を遮断すると思います。なぜかと言うと、その道路は大型車同士が擦れ違うにはカツカツくらいの狭い道です。そこに一般車両が列をなして停車すれば、緊急車両が通行するのは困難になる。ところが、午前10時半に私たちのバスが現場に到着するまでの途中、交通規制している気配など全くありませんでした。つまり、交通を管理すべき官公署は何もしていなかったということです。

 立ち往生して暫くしたら、ダイナマイトの炸裂音が3発。地響きがし、辺りの空気が震える。川に堆積している岩石を発破で破壊しているのです。車がびっちりと並んでいる道の右横は崖。左は川。発破の震動で、崖から小石がパラパラ落ちてくる。いゃあ、大石が落ちてきたら大変。直撃されたら即死です。にもかかわらず、その後も委細かまわずドンドン発破をかける。いゃあ、中国の人は神経が太いですねぇ。結局、大体10時間のうちに発破を10発以上かけましたが、幸運にも大石は落ちてきませんでした。

 発破の効果は余り無かったみたいです。発破による復旧を諦めたのか、夕方近くになって兵隊を満載したトラックが3台来ました。制服から見ると、どうも武装警察隊みたいでした。

 中国の警察には、いろいろ種類があります。一般の警察。これは公安といっている。最近、香港式の洒落た紺の制服に変わりました。更に交通警察がある。この制服は緑茶色です。更に、民警というのがあります。この制服は一様ではありません。武装警察隊というのは、人民解放軍とはまた別の組織らしい。制服が少し違います。とにかく中国の警察組織は、日本みたいに単純ではありません。

 武装警察隊の隊員たちが、袋に砂を詰めて流れを堰きとめ、何とか通行出来るようにしました。日本人である私が「面白いな」と感じたのは、現場を通過するとき、乗客はみんな「謝々」と兵隊たちに手を振り感謝の意を表する。ところが一部の乗客はトランプに熱中していて我関せず。ホント、みんな自由というのか、自分の関心事だけに忠実なんですね。

 武装警察隊員たちは、まだあどけない子供のような若者たちでした。私たちの謝意に対し、みんな嬉しそうに手を振って応えていました。国籍の違い、人種の違いなど全く忘れて、本当に心が通い合うような瞬間でした。

 それにしてもつくづく感じたことは国情の違い。日本なら直ちに警官が出動して、発破を掛けている現場から人を遠ざけると思います。ここでは警官なんか来ない。全くフリーな状態。向こう側から冠水した道路を人が渡って来る。私たちの後ろから車がドンドン走ってきて、隙間があれば割り込んでくる。そんな状態の中、ドーンドーンと発破を掛ける。

 もし死人が出たらどうするんだろう。人が多過ぎるから少しくらい死んだってどうってこたぁねぇーや・・・ということなのかなぁ。ホント分かりません。死ぬも生きるも自己責任。多分、これが中国なんでしょう。

 一方、乗客の方。たまたま同行中国人の中に、日本に滞在したことがあり、かつ日系企業に現在勤めている人がいました。その人が言うには、「中国で旅行していて、何も無いなんてことはあり得ない。こんなこと普通です」と泰然としている。他の人たちも騒がず驚かず。「アイヨー」でおしまい。トランプしたり、現場を見物に行ったり。川の中に小石を積んで、射的みたいなことをして楽しんでいる。他の車の人たちも同じ。飲んだり食ったり。忽ち道路にはゴミの山。みんな、窓からゴミを捨てますから。若いカップルは抱き合って、フムフム。なかなか大胆です。

 立ち往生していくらも経っていないのに、すぐに行商人が現れたのには驚いた。大体が地元の農民みたいでしたが。茹でた玉蜀黍とか馬鈴薯を背負籠にに背負って来る。軽トラックにビール・食べ物を満載してくる。お値段は普通。火事場泥棒的なことはしない。その点は大いに称揚すべきことだと思いました。人の弱みに付け込むような中国人は、ホンの一部の人なんでしょう。私が買った玉蜀黍は、普通の半分くらい。1本1元でしたが、「小さいから負けろ」と言いましたら、その日焼けしていかにも健康そうな若主婦は毅然として、「あたしゃ山からこれを背負って来たんだから」と言う。実はお釣りの5毛が無かったんだろうと思うのですが、こちらその堂々たる態度に感服して、1元払いました。

 長時間のうちには当然、自然が呼んでいる状態になります。ここでも中国の人に感心。一応女性は茂みの中に入って行きますが、完全に隠れる状態ではない。でも悪びれない。堂々と用を足している。愚妻も見習って曰く、「いやぁ、気持ちがいいわ」。それでいいんですよねぇ。人間臨機応変でなくっちゃあ。いろいろ勉強になった10時間でした。


 補足です。我々が通過するとき現場はまだ冠水していて、下が見えませんでした。バスは誘導員の両手使った誘導に従ったんですが、一度大きく傾きました。おそらく道路がえぐれていたのでしょう。翌日大理に到着しましたら、後続車両が横転し死傷者が出て、道路は再び通行不能になったと聞きました。それを聞いたとき、本当に板子一枚下は地獄だなぁと思いましたね。
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