03.10.10  お茶の産地安渓

茶都の茶市場。生産農家がそれぞれ自家製のお茶を持ち寄る。その数500人を下らない。この中を回って品定めをするのだが、素人には大変なこと。
市場の一隅にお湯と茶碗を貸す所があり、ここで聞茶する。お湯はタダ。茶碗は貸し賃2角。


 古代人@厦門です。国慶節も終わったのに、当地は蒸し暑いです。夜、締め切って寝ると汗をかく。だから裸で寝る。すると朝方冷え込む。それで風邪を引いてしまいました。家人と電話で話していたら「SARSじゃないの?」。何でも非典に結び付けられるので困ります。

 さて、昨日、安渓に行って来ました。お茶の産地で有名。当地から西北の方角になりますか。山の中。バスで2時間かかります。前の厦門滞在のとき、当地に1ケ月長期逗留しておられて知り合いになった徘徊老人さん(HN)からお話を伺って、一度行ってみたいと考えていました。江西古鎮に行って来てもまだ時間が余る。丁度いい機会なので出掛けたわけです。

 予め聞いていた始発の場所まで市内バスで行きました。安渓とは逆の方向になります。待機していた安渓直行と書いてある中型バスに乗る。既に乗客が二人、最前列2人席を各一人で占領している。だから2列目に座った。間もなく発車。トロトロと走る。ときどき自転車道に入って停車する。なんか停留所じゃないのに、停まる所が決まっているみたい。そこで待っている人を乗せたり、荷物を横腹に格納したりする。長距離バスは軽運送業も兼ねているんですね。

 最前列に座っていた一人が降りた。なんだ、乗客じゃなかったんだ。あいつの隣に座れば良かった。そうしたら、一番眺めがいい席を占領できたのに。いえ、既に隣には途中で乗ってきた赤ん坊抱いた女性が座っていました。だからそこへは移動し難い。我慢した。そうこうしているうちに、私の宿の前のバス停にも停まった。なーんだ。ここにも停まるんなら、何もわざわざ1元払って始発場所まで行くことはなかった。

 また暫く走ったら、キャリーバック持った女性が乗ってきた。そしたらもう一人、最前列を占領していた女性がスイと立って席を譲った。感心な人だな・・と思いました。いえいえ、それがトンデモない。この後この女性、料金徴収に来た。安渓まで18元。車掌だったんです。ホント、この国ではサービス員と客とどっちが上だかわかんない。本来私が乗り込んだとき、その席を譲って立たなくちゃいけないのに、横柄な横座りのままピクリともしなかった。もういい加減慣れてもいい頃なのに、こういうのに出会うと未だに腹が立ちます。

 海峡の長い橋を渡って厦門を出、集美を過ぎ、同安で左折します。左折しないで真っ直ぐ行くと泉州です。道はやがて山にかかる。山に分け入るように登って行きます。ここまでで既に1時間経過している。長い龍門トンネルを抜けるとボロテントがあって、そこから出てきた横柄な男が乗客の人数を数えた。車掌が金を払ったみたい。入境税なんてものがあるんだろうか? 車の通行料はそこら中で徴収しているけれど、施設の入場料以外で人頭税みたいなものを払うの見たのはこれが初めて。ホント、この国には分からないことが一杯ある。

 道はここから下りになります。トンネルまでが広義の厦門市。トンネル抜けると安渓市。山は厦門側と同様灌木で緑に覆われていますが、所々の山が大きく削られている。石材を採掘しているんです。中には400から500米くらいの山が、麓から山頂まで削られている。なんだか生物教室にある人体標本を見ているようで痛々しい。ここで採掘された石材は殆どが日本向けに輸出されるらしい。珠海事件と違って、こちらは需要があるから供給されている。環境破壊だと問題になったら、私は「第一義的には日本が悪い」と言わなくちゃならんのかな?

 安渓の町に入って驚いた。私は山中の谷間に、100戸くらいの人家が固まっている程度の村をイメージしていました。なにがなにがトンデモない。厦門程じゃないが高層ビルもある堂々たる市街です。やっぱり日本の感覚では捉え難い国ですね、中国は。

 バイクタクシー4元というのを3元に値切って、徘徊老人さんに聞いていた「茶都」に向かいます。途中、巾100米もある川に沿って走る。また、鉄道線路も潜りました。後で聞いたら泉州と、反対は龍岩へ行く鉄道だそうです。茶都まで結構走りました。3元相当ありましたね。

 茶都は町の外れ。鉄筋横長のビル全部がお茶の店。ここで市が立つと聞いて来たのに、それらしいものは無い。乗ってきたバイクの運ちゃんと筆談数合。私が「茶生産農家集合的売茶市場那里?」と書いたのに対して、「生産農家はあっちだ」と山の方を指差す。危うくそれを鵜呑みにして、またバイクに乗ってしまうところでした。でもちょっとおかしい。「星期一和星期四有茶市場。今天星期四」と執拗に繰り返したところ、「ああそれなら裡面有」と言った。

 裏へ回ったら、ありましたありました。ビルの中、広いマーケット。前にお茶が入った大きいビニール袋を据えた老若男女。ザッと1,000人はいるかな? いや500人かな? まぁ500人は超えていますね。壮観です。それに対してお客があまり見当たらない。いや、これはエライ所へ来てしまったぞ!

 立ち竦んでいてもしょうがない。列の中に入って行きました。案の定みんな手を挙げて、「これいいぞ」、「見ていけ」、「香りを嗅げ」と言う。何も言わない奴もいる。それは無視。無視しなくちゃ前へ進めない。だって、声掛ける人を無視すると、袖を掴むわ、裾を引っ張るわ。それを振り切るわけにもいかないでしょ。

 私、子供のときと高校時代(間が開いている)、静岡の田舎にいたことがあります。祖父母が蜜柑とお茶を作っていた。だから多少の目利きはできると自負している。でも、風邪引いているから鼻が利かない。勧められると一応は手に取って嗅いでみるんだけれど、よくワカラン。でも稀にプンといい匂いがする茶もある。そこで値を聞くと、それがですね、これも驚きなんですが、えらい差があるんです。安いのは10元台。20元台、30元台が割に多い。高いのは260元と言った。エーッ!と思わず目をむいた。なぜかと言うと、徘徊老人さんに「この茶都の値段は厦門の10分の1です」と聞いていましたから。260元と言えば、厦門では2,600元? まさか。ああ、そうそう。これは1斤の値段です。

 そうして回っていく内、後ろから追っかけて来るおばさんもいる。さっき香りを嗅いだ切りで振り切ったおばさん。可能性があると見たんでしょう。しょうがないからそのお茶を少し取って、聞き茶の場所へ行った。お湯と茶碗が置いてある。そこで試飲するんです。茶碗借りると2角だかを取る。私はうがい用のコップを持参して行ったので、湯だけだとタダ。そのコップで試飲してみた。新茶だから甘い。淡泊。そうそう、説明を忘れていた。ここ福建では、春と秋、2回お茶が採れるんです。

 なんせ試飲はこれ一度だけだから、比較のしようがない。一回で決めるわけにもいかない。遠くからこちらの様子を伺っているおばさんに、「これはダメだ」と合図したらそのおばさん、「そんなコップじゃアカンネン、あっちのチャンとした茶碗で飲まんカイ」と身振りで言う。「ダメダメ」と手を振ると今度は地団駄踏んでる。いや、もう怖くてそっちには行けない。他へ回った。

 その前からもう汗ビッショリ。途方に暮れる思い。香りはワカラン。味もワカラン。値段で決めるしかないのかな。しかし、1斤だけじゃ売ってくれないだろうな。なんせ卸市場ですからね。さりとて沢山は買えない一人暮らし。弱ったなぁ。ホトホト困り果てて、さっきから付きまとって来ていた若い男に付いていくことにしました。二階に自分の店がある。そこで試飲して行けと言うんです。生産農家から買うつもりで来たのに、店で買うのは気が進まない。でも、もうどうしようもない・・・という感じでしたね。「これだっ!」という決め手が掴めないんです。

 その店に行ったら若い女性が居て、いろいろ飲まされました。私を誘った若い男の姉だとか。一番うまいと感じたのを、言い値45元を40元に値切って1斤買いました。たぶん下の市場の生産農家の物より高いでしょう。生産農家のものは少し茎が付いている。店のは茎は取ってあった。「私は旧茶も好きなんだ」と言ったため、春茶も勧められたので半斤買っておきました。たったの4元でした。

 この店では終始筆談。姉の方が「あんたどこの人?」と聞く。「猜!」と答える。分からないらしい。トボケて「中国人だ」と言ったら、「それなら東北だね」。ホント、中国は広いですね。碌に中国語話せない。ときどき「暑いなぁ」なんて日本語洩らしている人間を、外国人とは思わないんだから。以前、泰安の美容院で「広東人か?」と言われたこともあるし。浙江省・仙居では「台湾人か?」と言われたっけ。

 今ではやはり、農家のお茶を、ダメモト精神で買えば良かったと後悔しています。その為にわざわざ行ったのですから。ですけれども、1斤では売って貰えなかったかもしれない。そして最大の問題は、次に行くときまで、その買った相手の顔を覚えていられるかどうか。500人以上も居ますから、顔だけじゃちょっとね。

 こういう所で気長にのんびり交渉するのが好きな方には面白い場所ですよ。一度いらっしゃいませんか? 月曜日と木曜日。朝6時半から午後の4時、5時頃まで開いているそうです。ご案内しますよ。

 追記(10月15日)
  龍門トンネルを抜けたところで人数のチェックがありました。それは、バス会社の検問なんだそうです。車掌の不正防止と顔パス、つまりタダ乗りをチェックしているのだとのこと。このリポートを読んでくださった徘徊老人さんが教えてくださいました。

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