03.11.19  日本語能力試験-2
道順
私の生徒達が最も不得手とする問題。他国の人はどうなんだろうか。
試験場
こういう信号や踏切がどうこうという問題も不得意。免許を持っていない(運転しない)せいかも知れません。

 古代人@厦門です。今日は薄曇り。蒸し暑い。外出もTシャツ1枚です。

 昨日の続きです。2級を受ける生徒、3級を受ける生徒。本来上級生徒の方が出来る筈ですが、それが必ずしもそうではない。ある種の問題ではどちらの生徒もできない。それは文化や習慣の違いによるのではないか・・というお話。

 道順の問題がそれ。予約したお客がレストランに電話を掛けて道順を聞きます。レストランの人が、「駅を出て真っ直ぐ行って最初の角を右に曲がり、そのまま進んでください。三本目の角を左に曲がって右になります。その角からは10メートルほどです」と説明します。するとお客の方は「駅を出て右? すると駅からすぐの道ですか」と聞き直す。これは聞き手を混乱させるフレーズなんですけどね。レストランは「いいえ、それは線路と平行の道です。駅から真っ直ぐ進んで最初の角です」というように再度説明する。

 この問題には絵が付いています。私ら日本人には聞くだけでよく分かる説明です。ましてや絵が付いているんだから間違えようがない・・と思うんですが、結果は惨憺たるもの。日頃合格ライン60%をほぼクリアーする生徒でも、正解出来ない。「何で?」と聞くと、「[真っ直ぐ]と聞いて、これだっ!と思った。早とちりです」なんて言う。「早とちり」なんて言葉を知っているンですから相当なものなんですけどね。それが答えとして直進した先の場所を選んでいる。

 私、これについて思い当たることが多い。これは厦門に限らない。とにかく中国で何かの場所を聞くと、答えが非常に大雑把です。「○○の付近」とか「前面」という風。いざ行ってみると、とんでもない。前面どころか後面だったりする。ひどい目に会う。距離もそう。昨年、媽祖の島へ行った。[草冠+甫]田(ブーティエン)出身の生徒がいて、「遠くないですよ。ブーティエンからすぐです」と言う。ところがブーティエンまで行って道路標識をヒョイと見たら、まだ40kmも先じゃありませんか。私らの感覚では40kmは近いうちに入らない。とにかく途方もなく広い国ですから、大昔からそういう習慣。それで通っている。キチキチと細かく言われると、反って分らなくなるようですね。

 次に「やりもらい」。これは日本語教育の方の言葉で、要するに授受、貸借、教習の関係を一括してこう言います。漢語堪能なお歴々が揃っているここでこんなこと書くのはなんですが、要するに漢語では「給」一字で授受を片付けちゃうでしょ。 我給(→)ni一本書。他給(→)我一本書。 
 
 だから「日本語は上げる、貰うと区別があるんだよ」と教わってはいても、聴解のような瞬間的判断を要する場合には頭が混乱するらしい。すると、他のフレーズも聴き取れなくなる。

 ということで、例えば、母「チョットチョット! あんたどこへ行くの?」。子「ウーン。ちょっと切手の本を借りてくる」。母「何で行くの?」。子「自転車。駅の近くだから」。母「気を付けてね」。「ウン。行ってきます」。こんなに簡単なやりとりでも殆どの生徒が間違える。これは「どこへ行きますか」という(絵なし)問題。答えは1.図書館 2.郵便局 3.本屋 4.自転車屋で、正解は図書館。だいたい本屋か郵便局を選ぶ。まぁ「借りてくる」を「買ってくる」と聞き違えるのかもしれない。すると原因は文化・習慣の違いということではなく、単に習熟度の問題かもしれません。ですけれど、他の年度にも「貸す・借りる」という言葉が入る問題があり、そういうのは大体みんな出来ない。

 その他の例をもう一つ挙げましょう。問題は「この女の人は鈴木先生に何と言われましたか?」。ダイアログは、女「あのー、田中さんですか」。田中「ハイ、そうです」。「これ、鈴木先生に返してくるように言われました」。田中「ああそうですか。どうも有り難う」。答えは1.貸してくると言われました 2.返してくるようにと言われました 3.貸してくるようにと言われました 4.返してくると言われました。

 1.と4.は鈴木先生自身が直接その行為をすることになりますから、それを選ぶ生徒は文法的理解ができていない。ですから、間違える原因は必ずしも貸す・借りるの区別がつかないということだけではないのかも知れませんが、こういう言葉が入ると、とにかく正解率が低くなります。

 道順そのものではありませんけれど、類似の交通に関することにも弱いという特徴があります。運転試験場(上の写真)の問題。女「私は坂道に弱くて」。男「ボクは坂道は無事だったけれど踏切で失敗しちゃった」。女「でもいいわよ。最後の信号で失敗する人もいるというから」。男「これで終わったと気が緩むんだね、きっと」。問題は「正しい道はどれですか?」。正解は・・・・。さぁどれでしょう。皆さん当ててください。

 また長くなってしまいました。まだ色々あります。続きはまた明日に。
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