04.05.07  GDPの話-1
 
      これは私が参加しているML・Chinaに投稿したものです。


 
 労働節休みを利用して旅に出ています。貴州省を回ってただ今上海です。中国経済の一面について、少し長い話です。興味のない方は即削除をお願いします。

 日本から取り寄せた文春四月特別号を読みながら歩いていました。そこに「ハイアールは張り子の虎」という記事がありました。要するに相殺すべきグループ企業間の取引をそのまま計上している。だから公表されている売上高は実は2倍に水増しされているに違いない・・・ということ。

 中国の統計は政府当局者自身が「地方の報告はどうも・・」と正確性に「?」をつけています。ですから、中国経済が既に輸入代替生産レベルを脱して後進国段階からテイクオフしていることに疑いは持っていませんが、しかし発表されるGDPのトータルとしての数字には私、以前から疑問を持っていました。この記事は私の疑念を裏付けるものでした。つまり、政府発表のGDPはかなり割引して見る必要があるということです。

 総額としてのGDPだけではなく、資金の循環過程やその波及効果についても問題があるのではないか。そんな認識も持っています。どういうことかと言いますと、私は厦門に住んでいます。部屋を探します。すると一つのマンションの中で幾つも空室を見せられます。家賃1000元から1400元程度と条件を付けてそれです。無条件だったらもっと多いでしょう。こんなに空室が多いのに、今でも次から次へとマンションが建てられて行く。完成しても全く売り出されていないものもあります。どこかの金持ちが丸ごと買って、値上がりを待つのだそうです。

 建築費が回収されそれが再投資されるのならば、それは一応正常な循環になります。ところが最近のニュースでもありましたとおり、民工への賃金不払いが全国的に発生しているらしい。すると経済学でいう乗数効果もその分無いことになる。分かり易く言えば、民工の地元へお金が回らない。単に資金循環の不調ということだけでなく、社会不安の素にもなっている。また、その不払い分の行方も問題です。

 貴州省では高速道路を盛んに作っていました。西部大開発の号令下、内陸部ではどこも同じだろうと思います。それはそれで結構なのですが道路、橋梁、箱ものなどへの投資は昔からインフレ要因ということになっている。生産に対する直接投資とは違って、それは間接的だからです。以前から中国経済の基調はデフレ傾向と聞いています。すると、これだけ間接的投資を続ければデフレからインフレになりそうなものなのに、そういう話は聞こえてきません。ただ、観光地の門票だけは凄まじいインフレですが。

 ご存じのとおり、中国の銀行は多額の不良債権を抱えています。(日本の銀行も大変ですが、その話は今日は横に置きましょう)。それは過去、政府の命令で国営企業に融資した残債です。融資とは名ばかり。実際は公金注入です。本来政府予算で手当てされるべき筋合いのものだったのです。

 私の初めての中国になった江蘇省のある市に、日本の有名食用油メーカーの工場がありました。不振の国営企業を合弁の形で救済したのだそうです。最近その日本企業が、合弁を解消し撤退すると聞きました。その理由は、過去の銀行からの債務を返済するメドが立たないから・・ということでした。赤字の垂れ流しを止めることは出来たが、それ以上のことは出来なかったということですね。或いは何か嫌気がさすことがあって撤退するのかも知れません。

 以上のことを総合しますと、中国は外貨準備高において確かに世界第二位にはなったのだろうけれども、累積不良債権と三角債、要人による国家資産の海外流出、更には民工不払い債務などを仮にそれと相殺した場合、いくらプラスが残るのか? 実はまだまだマイナスなのではないのか?  これが私がずっと感じている疑問なんです。

 別の言い方をしますと、世上中国は凄まじい勢いで発展していると取り沙汰されていますが、本当にそうなのだろうか・・・ということです。勿論、フロー面で見れば発展していることに間違いない。しかし、ストック面ではどうなのか? ということでもあります。しかも、まだまだ先は長い。期待するほどの経済効果が得難い内陸部への投資をずっと続けなくてはならない。それは歳入だけでは到底賄えないでしょう。政府債務の累積は必至です。

 大雑把な話で分かり難く、かつ間違いも多いかも知れません。皆様のご意見をいただきたいところです。
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