04.05.09 GDPの話-3 
 
            MLのお仲間沢津さんから寄せられたご意見です。


 古代人さん、こんばんは。
沢津@東京と申します。移行先MLでは「みなさま、はじめまして」です。

>  中国の統計は政府当局者自身が「地方の報告はどうも・・」と正確性に「?
> 」をつけています。ですから、中国経済が既に輸入代替生産レベルを脱して後
> 進国段階からテイクオフしていることに疑いは持っていませんが、しかし発表
> されるGDPのトータルとしての数字には私、以前から疑問を持っていました。
> この記事は私の疑念を裏付けるものでした。つまり、政府発表のGDPはかなり
> 割引して見る必要があるということです。

 私も、ちょうど一年ほど前に、毎日新聞『余禄』に掲載されたコラムが印象的でした。まさに古代人さんのご紹介どおりの記事です。
http://web.archive.org/web/20030422042219/http://www.mainichi.co.jp/eye/
yoroku/200304/22.html

(現在、同社Webから当該記事が読めないため、webarchive.org からの引用です)

 そもそも、中国統計の信頼性は、非常にホットな話題の一つであり、その界隈の専門家にとってはおいしいテーマになりつつあります。

 まず、日本の研究者の間で「中国のGDPは信頼できない」が通説となっている模様です。最近のものでは、『アジア経済』誌(アジア経済研究所・刊)の2003年5・6月(第44巻第5・6号)に発表された論文(小島麗逸「中国の経済統計の信憑性:GDP推計」)が代表的でしょうか。

 ついでに学術誌『China Economic Review』も挙げさせてください。同誌が、GDP統計(…にとどまらず、人口統計やエネルギー統計にいたるまで!!)の信憑性に懐疑的な論調「だけ」を集め、大々的に特集を組んだことがありました。

http://www.sciencedirect.com/science?  
 
(英文かつ長いのでカットさせていただきました)

…ここまでくると、中国の統計が信頼できないことを追求するのでなく、事実を捻じ曲げてでも「信頼できること」を実証できれば ☆ノーベル経済学賞☆ が獲れるかもしれないと、ヨコシマなことを企てたくなるというものです。まぁそれは冗談にしても、まずは「どうすれば信頼できる統計を整備できるか」を親身になって考えてあげる方がよっぽど中国への貢献になるというものでしょう。

 しかしながら、結論をいうと無理なんです。中国で統計を整備するだなんて。※決して中国人に「大きなお世話だ」といわれるのがシャクなのではありません。

 最後が「中国で人口統計を整備するなんざ、できんわい」という強引な事例になってしまい、恐縮なんですが。

 わたしは、かつて中国の体育学校で教鞭をとっていた経験があります。年に一度の省の体育大会(日本のインターハイに相当)に出場するにあたり、参加選手は当日の会場に戸籍証を持参する規定があります。ここで、不特定大多数が「偽造」の戸籍証を提示するのです。曲がりなりにも公の場で偽造戸籍なんてもんが通じてしまう中国社会において、ましてや「じ・ん・こ・う・と・う・け・い・の・せ・い・び・な・ん・か・ぜ・っ・た・い・ム・リ」という見解にて、こんな駄文は結んでしまえばいいわけですが、もう少しだけ【現実】を紹介させて下さい。

 勘の良い方はお気づきかもしれませんが、戸籍の偽造により、年齢のごまかしや、他選手へのなりすましさえもが可能になります(つまり、よりレベルの低いカテゴリに参戦できる → 良い成績が収められ、体育学校の授業料が免除されたり、成績に対する報奨金も出たりで、指導者も選手も家庭もみんながハッピーになる)。

 当時まだ若く血気盛んだった私がこのような不正を見過ごせるわけもなく、他校に抗議を、と身構えたところ、味方から「…不、不、不行!!(意訳:それはお互い様だから、な?)」と、取り抑えられたことを今でもよく覚えています。まぁ、中国で菅直人にならずに済んでよかった、程度の思い出に過ぎませんけど。

 以上は実体験に基づく【事実】です。
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