04.11.05. 日本留学と入管
華清池・楊貴妃像
西安・華清池の楊貴妃像。本稿とは関係ありません。
 中国から日本への留学問題について某国立大学教授と対話を交わしている最中に、偶々日本から取り寄せた月刊誌文藝春秋中に興味深い記事を見付けました。中国若手官僚の日本分析論文の一部だそうです。前の「58.留学先国の順位」にも関連しますので、私の見方を添えてここにご紹介します。
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 文春11月号 反日中国官僚が見た「偉人・池田大作」

 (前略)

 日本は、先進国の中でも最も厳しい入管法を実施している。日本への入国が極めて厳しいことは、北京のタクシー運転手でさえ知っている。日本大使館領事部の前にできる入国ビザ申請のための長蛇の列はそれほど有名だからだ。

 外国人の多くは、どんなに日本で生活しても本当の意味で日本人社会に溶け込むことはできない。外国人は、この国から便利で快適な生活環境や科学技術の進歩による活力や刺激を得ることはできても、決して精神的に満たされたり心を癒されるオアシスと感じることはない。

 日本人は経済力をバックに、札束を懐に国門を飛び出し世界を享楽し、また、優秀な頭脳を持つ大中小企業の商人達も世界各国に出撃し大中小の金儲けをして帰国する。だが、排他的な民族性のため、外国人が日本に入ることには抵抗を示す。特にアジア諸国、中でも中国人に対して厳しい。

 それは、日本人が原因ではないとする反論もある。悪いのはここ数年、外国人、中でも中国人による犯罪が日本社会の治安を著しく悪化させたからという意見である。

 この事実は否定できない。だが、日本における中国人犯罪が増えた理由の一つとして、入管が一役買ったということも指摘しておきたい。過剰ともいえる法規の厳しさに加え煩雑な書類手続きにより、身分が合法で理由も正当な中国の青年達の日本留学は断念させられ、逆に金儲けを目的とした犯罪予備軍のように、最初から不法に入国しようとする者に隙間を与えてしまっているからだ。

 中国から毎年、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパに留学生が出ているが、どうして日本での犯罪ばかりが目立つだろうか。

 実は、中国の留学ブームが過熱する中で、毎年約百万人の学生が出国するが、ここ数年、日本への留学申請者数は激減している。入国審査の厳しさと日本社会の対中排除世論が多くの優秀な学生の足を遠ざけたからだ。北京大学や清華大学などの超名門大学の学生は真の民主・平等国家のアメリカを目指す。そのため、中国の将来を担う学生が日本を知る機会は訪れない。第二に、才能はそれほどでもないが、金持ちの家に生まれた若者達は入国審査の緩やかなカナダ、オーストラリアに向かう。そして、残ったのは、金もなく教育も受けていない者達で、彼らは一攫千金の夢を抱いて金満国家「日本」への出稼ぎを企てるという図式が生まれている。彼らはオーバーステイを覚悟で入国し、結局は犯罪に手を染める。80年代の留学生と比べ、「低学歴、低収入、低地位」という"三低"が日本留学の層を形成し、これが日本で犯罪が多い理由と考えられているのだ。

 (後に続く)

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 <私の意見>

 前置きはそのとおり。しかし、「日本で中国人犯罪が増えた理由の一つに入管が一役買っている」という見方は的外れ。「最初から不法に入国しようとする者に隙間を与えてしまった」というのはどういう意味なのか分りません。「普通では入国できない者が<それなら>と最初から不法入国を企てる」というのならば分ります。おそらくそのことを言っているのでしょう。こういう言い回しというのは中国人独特です。いわゆる「牽強付会」です。

 入管が厳しいから「超優秀な学生は日本を敬遠する」というのも的はずれ。そういう学生は最初からアメリカを目指します。確かに日本よりもアメリカの方が民主・平等。学位も取りやすい。日本の大学で博士号(特に文系)を取るのは非常に困難であると外国人の間では定説になっているとか。アメリカの方が勉強量は多くて大変だけれど、学位は取りやすいとされているようです。それと日本の一流大学は殆ど国立で、何かと規制(受け入れ枠など)があって入りにくいという情報も流れているようです。それならばアメリカへ・・・というのは自然なことで、別に日本の入管のせいではない。

 「才能はそれほどでもないが、金持ちの家に生まれた者は・・・」の部分はそのとおりです。私の2年目の教え子にもカナダ、オーストラリアへ行った子がいました。日本より入国しやすいのは確かです。

 「残った者は・・・」仕方がなくて日本へ行くと言いますが、元々こういう連中は超一流大学卒業生がどうとか、金持ちの子弟がどうとかに関係なく、最初から日本を目指しているのです。その理由は日本が一番近い国で行き易い。そして、かつては短期間でシコタマ稼げた国だ。不景気と言ったって行けば何とかなるだろう。そういう感覚なんです。

 もう一つ見落とし勝ちなことに、彼らには「日本だと犯罪を犯してもペナルティが軽い」という計算がある。アメリカですと警官と言わず一般人にも現場で射殺される危険性がある。捕まったら刑も重い。日本だと殺されることはない。捕まっても日本の刑務所は中国のそれに比べたら天国だそう。

 だいたい横浜中華街や神戸南京町の人達はこういう連中の大先輩。可成り昔からこういう一旗組はいたし、80年代にも90年代にもいた。今後もこういう連中は無くならない。つまり、日本へ押し寄せる波は底流として元々存在するのです。

 この後のライターの意見は噴飯ものです。私に言わせれば、この人はものを知らないか、おべっかを使っているかのどちらかです。
どこが「冷静な分析」だろうか。
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 (前から続く)

 日本における中国人の犯罪がクローズアップされて以来、中国ではこれに反発する発言も多く聞かれる。その多くは、「日本は大した問題ではないことを故意に大袈裟に報じて中国人のイメージを傷つけた」とか、「中国でも外国人は犯罪をするが中国人は大騒ぎしない」というものだが、どれも日本人から見れば的はずれな反論である。しかし、この筆者は感情的な反論ではなく、冷静な分析を加えている。"三低"という切り捨て方には驚きを感じるが、客観的な立場からの貴重な意見だろう。

 (後略)

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