07.03.21 近代国家とは−3
ショッピングモール
ショッピングモールの吹き抜け(上海・准海中路)。広さ、豪華さで軽く東京の水準を抜いています。

 過去の財政政策を振り返ってみましょう。先ず改革開放政策のスタート。87年共産党第13回大会で趙紫陽総書記の下、三段階論(先富論の具体的計画)を打ち出した。

 目標は 1.GDPを90年までに80年の2倍にする。 2.更に00年までに90年の2倍にする。 3.21世紀中葉には1人当たりGDPを中等先進国レベルにする。

 財政は地方に活力を与えるため請負制をとった。徴税は原則として地方政府が行う。中央には税収の20%程度を上納。残りは地方政府の自主裁量に任せる。早い話が各省勝手に走れと言うことです。

 建前は省、市、県、郷鎮各級について上級機関は下級を指導するとなっている。けれども無い袖は振れないで、上は下の面倒を見ない。また、豊かな地域が貧しい地域の面倒をみるなんてことはしない。そのため分立・混乱が起こり、同一地域内でも異なる地域間でも不平等、格差が拡大した。義務教育の責任については前頁に書いたように末端に押し付けたため、豊かな地域ではまずまずの水準だが、貧しい地域では教師の給料も払えない状態になった。

 これらの混乱、不統一の収拾策として94年、財政請負制を止め分税制を施行。その内容は中央政府が間接税(増値税75%、消費税、関税等)を、地方政府は直接税(営業税、法人税、個人所得税、増値税25%)を徴税(注)。地域間格差の是正には中央財政から地方へ転移支付を行う。これは日本の地方交付税交付金に当たる。
 (注)消費税:タバコ、アルコールなどの特定物品税。
    増値税:物に掛かる付加価値税。
    営業税:サービスに掛かる付加価値税。

 次いで98年、朱鎔基首相就任。不採算国営企業の整理、私企業の容認、WTO加盟。江主席が「三つの代表論」を唱える。社会主義を放棄し、市場経済へ転換したわけです。
  
 貧しさからの脱出、人口増の圧力を凌ぎ成長を続ける為には、兎にも角にもGDPを引き上げるしかない。それはよく分かります。しかしその為には、徴税→適正な投資→適正・公平な徴税の循環がなければならない。その実績はどうか。税負担の面から見てみましょう。

 <02年 1人当たり税・費用負担> 
   資料:「中国経済政策史」 財務省総合政策研究所 特別研究官 田中修氏
     純農家         115.7元
     兼業農家(農主)    81.8元
     同     (農従)    62.1元
     都市住民         49.5元

 これはおかしいですよね。豊かな都市の方が税負担が少ない。都市における個人所得税課税最低限は800元と定められている。しかし農業税、農業特産税には最低限の定めがない。そして、ここが肝腎なのですが、都市部での徴税が厳正に行われていない。低所得者のみならず、高額所得者でも殆ど課税されていないのです。対して農村部では、現金がなければ家財道具から種籾まで没収されるという過酷な徴税が行われている。本来それは逆であるべき。都市の高所得者からこそビシビシ徴税しなければならない筈です。 

 また、都市住民間でも所得格差が大きい。(資料:同上)
     <所得下位20%の層>     <所得上位20%の層>
    90年         1                    4
    00年         1                   12
    金融資産    1.5 %                55.4 %

 上記2種のデータから都市において所得の捕捉率が低く、更に厳正な徴税が行われていないことがハッキリ分かります。
                                        (続く)
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